0-1. ホテルの予約は直前が鉄則

 

 さて、突如降ってわいたような夏季休暇。

 フジイチをやろうと決心してから私の行動は実に。なにせホテルを決定したのも出発前々日の深夜である。


 コレにはちゃんと理由がある。


 私はバイクツーリングをする人間である。

 そして今回もいつもの常で、独り旅行で……な、泣いてないもん!

 つまり、どんなに行き当たりばったりでも予定を変更しようと、それが予約の無断キャンセルにさえならなければ基本誰にも迷惑がかからないということだ。

 そしてバイクツーリングということは、天気が重大な要素になる。移動そのものがバイクである以上事前にホテルを予約したけど土砂降りでまともに走れません、では困るのだ。

 今回は移動こそ電車だが、旅の目的がフジイチである以上天候不順では目的を達成できない。

 そのため天気予報をずっとチェックしていた。

 ここ数年の天気予報は実に精確極まりなく、3日後くらいの天気予報はまず大外れしない。

 

 富士山周辺の天気予報は――

 休暇初日、晴。

 2日目、晴れのち曇り。 

 3日目、雨。


 初日と3日目は移動日に当てるとすれば、3日目の雨は無視できる。

 こうして天気予報に確信ができた深夜、私は静岡県富士宮市内のビジネスホテルを予約した。

 インターネットの普及でホテルを調べるのも部屋の空きを確認するのも予約するのも、ポチッとクリック1つで完了できるのはすごく楽だ。

 昭和であれば地図や電話帳でホテルの住所や電話番号を調べて、営業時間内に空き部屋があるか電話しなければならないのだからその手間たるや。

 まぁ、その便利さにかまけて直前になるまで予約はともかくホテルを調べることさえしない面倒くさがりなのもどうかと思いますけどね僕ァ。


 ついでに電車のルートも調べてみる。

 現在私は岐阜県多治見市在住だ。

 ざっくり調べたところ、多治見駅から、

 

 1.JR中央本線で北上、長野県塩尻で乗り換え南下し山梨県甲府で身延線に乗り換えさらに南下

 2.名古屋まで出て東海道在来線を乗り継ぎ、静岡県富士から身延線で北上

 3.名古屋まで出て新幹線と在来線を乗り継ぎ略


 結論から言えば、私は3.新幹線を選んだ。

 1.の長野経由は論外。

 2.は安いが3.より3時間ほど遅くなる。

 3.は早いが、2.より3000円ほど高くなる。


 雨予報を見越せば3日目に富士宮市を観光できるとは思えない。そもそもそんな体力的余裕があるとは思えない。

 となれば初日に早めに移動しておけば多少の観光時間が取れるという訳だ。

 

 ちなみ今回、御殿場市をベースに選ばなかったのは名古屋側からのアクセスのしにくさが理由だ。

 地図を見ればわかるが富士市と御殿場市の間には愛鷹山が聳え立ち、JRだと新幹線で三島で在来線に乗り換えて沼津まで戻り、更に御殿場線に乗らなければならない。或いはいっそ小田原まで行って、小田急を経由しJR御殿場線を南下……と、とにかく遠回りだ。

 同じくアクセスのしにくさから山梨県富士吉田市は除外した。っていうか富士吉田に至っては東京八王子を経由しなければならないので論外だ。

 こうして地図の路線をなぞっていくと、日本の交通網の発達は山との戦いだったのだとしみじみと先人の方々の苦労が分かってしまった。大変だったんだなぁ……。

 そう言えばいま開発中のリニア新幹線、岐阜県も駅ができるかもしれないらしい。

 そうなれば甲府経由で富士山にもアクセスしやすくなるから、是非とも現役の方々にも頑張って頂いて多治見に駅を作って欲しいものだ、私のために。

 なに? 私利私欲に塗れてる? 人間はみな、自分勝手なものだから仕方ない。

 

 

 その他細々した準備として、


 ・タイヤの空気補充

 ・ボトル準備

 ・ライト類やモバイルバッテリーの充電

 ・予備チューブとCO2ボンベ


 などを終わらせておく。

 ついでなのでここでマシン紹介といきましょう。


 ・マシン TREK Emonda SL5 2019モデル

 ・コンポ シマノ 105

 ・タイヤ ホイール 購入時の奴


 基本的に買った時から弄っていません。

 ロードバイクに詳しい人なら

「ハイエンドじゃないけど、中級者向けって考えてもそこそこ性能いい奴じゃん」

 って言うくらいのランクです。

 ロードバイクを始めようと思えば先ずはロードバイクを買わなければ始まらない訳だが、下は5万円から上は100万オーバーまで。

 カメラ、クルマ、楽器など機材が必要な趣味はお金がかかる傾向にある。しかしたかが自転車にン十万って改めて考えればとんでもない話だわ。

 自分のマシンはざっくり30万。

 競技に出るわけでなし、ハイエンドモデルの性能を引き出せるとも思えないのでコレで十分。


 沼にハメたい人「ホイール、変えないの?」


 ホイールだけで30万する世界。

 冗談だろ……。


 いや、ロードバイクの世界では基本的に軽いは正義なので、軽量ホイールが求められるのはわかるけど。

 そんなガチの競技勢になるつもりはさすがに無い。

 それに私のお財布は年中無休で限界まで軽量化されている。無い袖は振れないのだ。

 請求書の束はこんなに重たいのに。不思議だ。


 ちなみに私がこのマシンを購入したのは2020年春先。

 お店の人からは半年待てば多分フルモデルチェンジされるよ、と言われました。

 根拠は同じくTREKの定番モデルが順次モデルチェンジしていたから。おそらく次はEmondaだろうと言われていたそう。

 しかしその時点で推測だし納車が何時になるか不明だしカラーリングが気に入ったので19年モデルで決定。

 店員さんの推測の通り二カ月後に2020モデルが予約開始なったのですが、色が好みではなかったのと、20年後半にはコロナ禍で素材の生産が不安定になり値段が高騰。

 しかも屋外で密にならずできる趣味として世界的にロードバイクがにわかに人気になったので予約待ち……と、実にラッキーなタイミングで購入ができたのを覚えています。


 さておき準備は大体整った。

 あとは出発するだけと相成りましてございます。


 

 

 

 

 

 


 

 

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