異世界転生したスケベな俺はメイドゴーレムとツープラトン技を決めてやるぜ!
真•ヒィッツカラルド
第1話【スケベな天童転生】
俺の前世は36歳の夏で終わった。それは猛暑の年である。
クーラーの壊れた暑くて狭い部屋で全裸になりながら趣味のフィギュア作りに没頭していたら熱中症にかかって倒れたのだ。
そして、気を失ったまま死んだのである。
こんなことで死んでしまうなら、パンツぐらい掃いておくべきだったぜ。それが死後で最初の後悔だった。
前世の俺は、誰が見てもオタクと言われるほどにオタクだった。しかも、心が歪に曲がったオタクである。
俺は新潟の田舎からビッグに成るんだと夢を追いかけて東京に出てきたのだけれど、あっさり社会の厳しさに敗北して引きこもり、だらだらとプラモやフィギュアを作りながら十畳一間のボロアパートで暮らしていた。まさにクズっぽいニートである。
生活は親の仕送りで暮らしていたが、36歳を越えても定職に就かない俺に両親は呆れて入金を止めたのだ。
まあ、当然の結果だろう。
そして、電気もガスも水道すらも止められた。アパートの家賃も2ヶ月は払っていない。
だが、それでも俺は働かなかった。働いたら負けって言葉を馬鹿正直に信じていたからだ。今思えば本当の馬鹿である。
まあ、どちらにしても俺には時間が残されて居なかったのだ。いずれ追い詰められるのは確定していただろう。
そんな夏の日である。俺は熱中症で死んだのだ。全裸で……。
まあ、電気も止められていたからエアコンどころか扇風機すら使えなかったんだもん。それは猛暑なんだから死ぬよね。
そして、俺は気を失う前、最後のフィギュアを作りながら考えていた。
もしも時間が戻せるならば、今度は真面目に生きよう、と──。
両親を大切に敬い、真面目に働いて、美人のお奥さんと結婚して子供を立派に育て上げるんだ。
まあ、淡い希望だし、もしも時間を戻せても、そんな真面目に生きられるかなんて自信も無い。夢は夢なのだ。
そして、俺が熱中症から目覚めると、古びた木造の窓から爽やかな風が入って来て涼しさを感じた。
知らない窓である。俺が住んでいたアパートは鉄筋コンクリートの錆びれた建物だった。木造部分のひとつも無かったはずである。
俺はベッドに横たわりながら窓の外を眺める。そこには雑な柵の向こうに金色の麦畑が広がっていた。その色合いから秋を感じる。
秋?
あれ、今は夏だったはずだ。しかも猛暑の夏である。なのに何故か涼しい。それに見たことが無い景色である。
外の景色が気になった俺はベッドから起き上がろうと試みた。だが、何故か俺はベッドから起き上がれない。身体が思い通りに動かせないのだ。
その異変に動揺した俺は、自分の両手を見て気が付いた。
小さい……。
俺の腕は小さく短かった。指も短く華奢である。まるで赤ん坊の腕である。
俺は驚きのあまり声を荒立てた。だが、喉から飛び出した声は幼い赤子の声色である。オンギャーオンギャーと甲高く聴こえた。まともに舌も回らない。しゃべれないのだ。
俺はベッドの上で手足をバタつかせた。しかし、ベッドから立ち上がるどころか上半身すら起こせない。
俺はしばらく踠いていたが、やがて疲れて眠ってしまった。
次に目覚めた時には、俺は誰かに抱えられていた。優しい温盛を感じる。
そして、俺は何かをしゃぶっていた。
なんだろう?
この甘い味は?
それに極上に柔らかい。
頭上を見上げれば女性の顔があった。若い娘で金髪の外人さんだった。しかも凄い美人である。おっぱいも大きい。
彼女が優しい声色で言う。
「お母さんのおっぱいを沢山飲んで大きく育つのよ。私の可愛いアトラスちゃん」
あ~、なるほどね。彼女が俺の新しい母親なのか。前世の母親と比べて………。
あれ、前世の母親ってどんな人だったっけ。思い出せない。記憶が混濁して思い出せないのだ。
でも、これで理解できたことがある。俺は転生したんだ。しかも前世の記憶と意思を一部引き継いだままに。これは凄くラッキーだぞ。
何よりラッキーなのは母親が美人で巨乳なことである。これは再出発のテンションが変わってくるってもんだ。
それから俺は村一番の天童として新たな人生を歩み始めたのである。
俺が産まれた村はシネマス王国の外れにあるトウエ村である。そこは農村で貧しい村だった。
その村で父は鍛冶屋を営み、母は裁縫の内職で家計を助けていた。まあ、夫婦揃っての何でも屋と言った感じである。
そのような一家に俺は一人息子として産まれたのだ。
しかし、村は貧しかった。冬に成ると食べるものに困ってしまうほどに貧しい村なのである。
だが、村の住人は、どんなに生活が厳しくても村を捨てる者は居なかった。
何故かは単純である。別の地に移っても生活の厳しさは変わらないからである。
むしろこの辺はモンスターの出現率が低いためにマシなほうなのだ。
そう、この世界にはモンスターが存在している。しかも森や山に入れば高確率で遭遇するほどにモンスターが闊歩しているのだ。しかも人食いモンスターばかりである。
要するに、ここはファンタジーの異世界なのだ。
そして、俺は過酷なファンタジーの異世界でぬくぬくと健康的に育っていった。
それから7年が過ぎる。
この異世界は文化レベルがとても低い。前世で三流高卒程度の知識しか持っていない俺ですら天童と謳われるほどの文化しかないのだ。
食事は雑で、塩や胡椒ですら高価で普段の食事には少量しか使われない。
更に言えば、砂糖が含まれたお菓子は貴族や金持ち商人しか食べれない。甘いお菓子なんて、俺たち貧乏人の口には年に一度か二度の祝い事でしか食べれない高級品なのだ。
貴重なのは他にも多い。ガラスはあるにはあるが、透明度が高いガラスは高価で一般庶民が手の届きにくい価格である。鏡ですら、一般女性が小さな手鏡を持っているかどうかのレベルである。
それに便利な機械は当然ながら無いし電灯すら存在しない。夜の灯火はランプや蝋燭を使っている。
それだけ文化レベルが低いのだ。故に高卒レベルの俺ですら天童と謳われてしまうのである。
そして、何故に俺が天童と謳われたかと言えば、それは家計を助けるための内職がバズったからである。
俺は少しでも美味しい食事を食べたいがために家の仕事を手伝った。
父親の鍛冶屋仕事、母親の裁縫も手伝った。それで、この世界の鍛冶仕事と裁縫仕事を僅七歳で習得した。
続いて俺は、その技術と前世の記憶を掛け合わせて木彫り作りを始めたのだ。
この世界の彫像はローマの製造風が主体だったが、俺が作った木彫りは日本風のアニメキャラを模倣した萌え萌えなフィギュア風だったのだ。
それがこの世界では斬新で奇抜だったのだろう。あっという間に貴族たちに好評が広がり高額注文が入るようになった。
その木彫りフィギュアの価格はひとつで家が一軒、土地付きで買えるほどの価格である。
だから俺の収入が両親の稼ぎを越えるのも一瞬だったのだ。
この世界で唯一無二の彫刻を作り上げる俺の稼ぎは、それほどまでに高かったのである。一般的な農夫が稼ぐ年収の数年分を俺は一ヶ月で稼ぎ出せるまでになっていた。
そうして俺が高額収入を手に入れると両親は貧しい村から高い塀に囲まれた都市に移住する。お金で都市の住民権を購入したのである。
それで、俺が10歳になるころには大きな屋敷を購入して、執事やメイドを雇い貴族のような暮らしを営み始めた。
そのころには父も母も仕事を辞めていた。働きもしないで優雅に遊んで暮らしている。
父は毎日酒を煽り飲んだくれており、母は煌びやかな宝石ばかりを買っては金持ちたちのパーティーに参加していた。もう、貧乏だったころの記憶は微塵も残していない。
木彫りフィギュアを生産して働いているのは俺だけになっていたのだ。
そのような両親を間近で見ながら俺は思う。
前世の両親も、こんな感じで俺を見ていたのかなって──。
駄目な肉親を養う虚しさ。それはそれで精神にキツイ現状だ。俺は転生してから親の苦労を理解できたのである。
そして俺は16歳に成ると家を出た。両親に内緒で一人で旅だったのである。
旅立つ前に俺は念入りに準備した。両親がしばらくは暮らせる生活費は勿論、己が安全に旅が出来るように護身術や魔法も学んだ。
旅の目的は、この異世界に転生したのだから、もっと色々な不思議を見て回りたかったからである。要するに冒険者に成ったのだ。
ゴーレムマスターの冒険者に──。
そして、旅の目的はもうひとつあった。それは生涯を共に歩んで行ける美人で可愛い嫁さんを探すことである。
俺の好みは単純だ。
料理が得意で、ボッ、キュン、ボンのエロエロ体型に、俺が少しぐらい浮気をしても優しく許してくれるけど、自分は絶対に浮気をしないで嫉妬ばかりしてくる上に貞操の硬い娘で、露出どの高い服を好む美人で可愛らしいポニーテールが良く似合う俺にとって都合の良い美しい娘である。
俺は、そんな嫁さんを探して旅だったのだ。童顔天童少年アトラス・タッカラ、16歳の夏の話である。
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