第3話魔竜リセ

「じいちゃん、この人たち誰?」

(…まさか私が話しかけられるまで全く気づけないとは。)

「あぁ、わしの古い知り合いとその付き添いの人だ。信頼できる客人だからいつもみたいにしないでいいぞ。」

「ふーんまぁいいや。今日のお昼ご飯ここに置いとくからちょっと出かけてくるね。」


そう言うと彼は大きな羽を背中から広げた。

星のような光がついた美しい羽だか、反対はなぜか細い木の枝のようで羽の膜はなかった。


「…本当にアルファの転生体なのね。」

「あぁ、何故か片方は細い枝のようになってはいるがな。恐らくだが本来一人として産まれるはずの魂が2つに裂けたから不完全な羽になってしまったのだと勝手に思っているよ。ちょいと待ちなさい。」


用意したお茶を飲み干すと彼は立ち上がりそのまま奥の部屋に入っていった。


「アレが伝説の双竜リセですか…まさしくこの世の全ての才を詰め込んだような竜ですね。」

「アルファのと比べたらあれでも相当不完全に見えるけどね。まぁ大賢者様のお孫様だから英才教育はしっかりされてたわね。」

「当たり前だ。わしは孫をスラムの浮浪児にさせないためにわざわざこんな所まで降りてきたのじゃからな。」


奥の部屋から戻ってきた彼は椅子に座ると手から大きな青い太刀を取り出した。


「リセと共に生まれた刀の大精霊だ。

銘は花無、忌々しきハバリガニ、もとい奴を含めた生み出した氷花、光凛、冥凛、火凛、水凛、聖凛、雷凛の7つの大幹部、7凛家を滅ぼすためだけに産まれた刀だ。」

(なんて剣だ、ここまで鍛えられた剣がこの世にいくつあるだろう。)


その驚く程に深い青を秘めた刀は自ら鞘に戻り、家の外へと飛んで行った。


「追いかけないんですか?」

「どうせリセの所に飛んで行ったのだろう。実際リセとは兄妹のようなものだしな。」

「で?あの刀を私たちに見せて何になるのよ。」

「…分からないか?」


彼はそう言って姫の姿を見つめた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

双竜伝説 リアス @00000aoto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る