ゲームキャラの召喚
ぴろわんこ
第1話
ゲームキャラのおれたち四人は、モンスターのボスを倒しに向かっていた。いきなり掴まれたような感覚とともに、ゲームの世界から抜け出されるのを感じた。おれたちは、現実世界の海岸立っていた。
「よくぞ、いらっしゃいました。さあ、事情を説明します」
おれたちは、屈強な黒人に挨拶され小屋へと連れていかれた。
「ここはあなたたちがいた時代より、千年近く前のアメリカ大陸です。ここで白人の侵略者たちを、追っ払ってほしいのです」
「え、どういうことだ?おれたちを召喚したのはあんたか?」
「そうです。天才黒人科学者の私が、過去にタイムスリップしてゲームキャラのあなたたちを召喚しました」
自称天才というだけのことはある。こんなことは、天才でなければてきない。
「あなたたちはゲームキャラだから、あまり事情をご存知ないかもしれないですが、ヨーロッパから白人たちがやってきて先住民をほとんど根絶やしにした歴史があるのです。そればかりかアフリカ大陸から、黒人を奴隷として連れてきた歴史も。しかもそれを何百年にも渡って続けてきたのです。
その歴史を根本から変えたいと思い、あなたたちをお呼びしたのです」
「どういうこと?船に乗ってきた白人たちを、倒せということ?」
魔法使いの女の子が訊いた。
「そういうことです。白人の侵略の歴史がなければ、世界はもっと平和になりぼくのご先祖が死んだり辛い思いをすることもなかったはずです。元から絶たねばダメです」
「しかし、いきなり倒すというのも少しやり過ぎな気も…
まずは話し合うとか。」
「ぼくもできればそうしたいです。ぼくの先祖も最初は白人たちを、神の国から来たのだと大歓迎しました。しかし残虐で独善的な本性を表してきて、何の罪もないご先祖たちを処刑、殺戮、拷問するなどひどいことをしてきたのです。
あなたたちも正義のためにモンスターと、戦ってきたのでしょう?その正義を黒人のために使ってほしいのです。世界中にあなたたちのようキャラを呼び出し、世界を平和にします」
「仮にそれが成功したところで、歴史が変わってしまうのでは?」
「そうだと思います。しかしそんな悲惨な歴史が延々と続き、現代まで尾を引くという事態よりはいいと思います」
「おれたちは、どうなるのかな?」
「ゲームの世界に戻るのではないですか」
黒人科学者は、にっこりと笑った。
おれたちは正義感を刺激されたので、引き受けることにした。黒人科学者は、本当におれたちの他にも様々なキャラを召喚したようだ。
それもそうだ。アメリカ大陸も広大だし、アフリカやアジアまで警備するとなれば、莫大なキャラが必要だろう。それをやってのけるのだから、あの黒人科学者には恐れ入る。
何とか目論見は成功し、白人を追い払うことができた。ある程度の地球の平和は保たれた。
任務を終えたおれたちは、黒人科学者が作ったゲームの世界へと入った。モンスターを倒しながらおれは、人間はモンスター以上に醜く独善的な生き物だったなと思い返していた。
ゲームキャラの召喚 ぴろわんこ @pirobigdog
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