第9話 まずは気楽な話題からW

「おや、昨日は受験勉強に関する脳の高速化伝授で話がついたような気がするが」


「それはそれで取引成立だけど、これってバイトみたいなものでは」


「ちなみに、コウタはどのくらいの金額を考えてるの」


「親からは毎月3千円の小遣いをもらってるけど、年頃の男子は、流行の服とか靴とか、参考書とか、雑誌とか、お菓子とか、ゲームとか色々必要なんだ。

 実は足りない分を、平日にどこかでバイトしようかなんて、前々から考えていたんだよね」


「ほお、最後のゲーム代というのが本命みたいだね。月にどの位ゲームを買うんだい、コウタは」


 お金を出してもらえそうな雰囲気を感じ取った俺は、ずばりと言った。

「月に5千円、他に買いたい物もあるし、月1万円のバイトを考えてたんだけど、どうかな」


「日本の国のお金で月に1万円だね」

 ハエのフライが少しにやついて見えた。


「もちろんさ、宇宙円や宇宙ドルだと使い方が分からないからね」


「おもしろいこと言うね、やっぱコウタらしいよ」


「じゃあ、良いのか」

 俺は身を乗り出した。


「それで協力に積極的になってくれるなら、払う価値はありそうだしね」


「もちろん、昨日言った通り、日本国や地球を裏切らない範囲でだよ」

 俺は念の為そう返した。


「その条件で構わないよ、今の所は」


 フライの言葉は、安心させてから不安にさせる。

 わざとか、ハエが少し微笑んでる気がするのだが、、、


「最後の部分が気になるけど、こっちも今の所は協力することにするよ。今日はどんな事をするんだい」


「そうね、まず気楽に話せるものから行ってみようか」


 始まった話題は、最近人気のコミック、アニメ、ゲームなどと移った。


 俺好みの分野だが、日本のオタク系文化でも調査してるのか、と少しばかり気が緩む。


 そこからアイドル関係に飛び、ファッションの話まで辿り着いた。

 俺はここでつまづいた。

 女子にもうといし、ファッションセンスはからきしだったからだ。


 そんな俺の様子を見て、フライは前足の一方を器用に目の横下辺りに付ける。

 思案する時のポーズみたいだが、ハエの動作としてはかなり奇妙に見える。



「そうだな、コウタは今起きているについてどう思う」

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