第三話《自己紹介》
異能学園・ディビリティ。本校舎、異能場、食堂、体育館、運動場などの普通の学校の施設からディビリティなどの異能学園が持つ異能場などの施設によって構成されている。
今僕たちがいるのは―――体育館。ちょうど入学式が終わったところだ。
「―――確か、僕たちのクラスは‥‥‥」
「ああ、1組だったな」
「そうだね、さっさと行こうか」
僕たちは移動し、しばらくして教室に辿り着いた。
ガラガラと音を立て扉を開き、僕たちに続いて多くの生徒たちが教室に入って来る。
そこから少し後、最後の一人のが教室に入り―――教壇の前に先生が立つ。
「皆さん、おはようございます。私の名前は
その台詞の後、咲夜を見ると‥‥‥彼は苦虫を嚙み潰したような表情で先生を見る。
‥‥‥えっと、なんで天音なんて苗字にしたんだよ馬鹿野郎‥‥‥かな?
咲夜が口を動かしているのを見て僕はなんて言っていたのかを予想する。
まあ仕方ないか。ア行から始まる人って少ないし。
一回深呼吸をし、咲夜が席から立った。
「‥‥‥天音咲夜です。先生、これって何を話せばいいかってあります?」
その言葉を聞き、うーんと思案したような顔をして先生は、
「そうですね‥‥‥名前、異能、趣味の三つでお願いします」
「了解です。‥‥‥改めて、天音咲夜です。異能は《
そう言って咲夜は席に座り、周囲からパチパチと拍手が送られる。
‥‥‥驚いた。正直僕のイメージの咲夜だと―――「天音咲夜。異能は《魔導の体現者》。趣味はゲーム」―――くらいで終わらせるかと思ってたのに。
そう感心してると、自己紹介は二人目に移った。
「天宮朱音。異能は《
天宮朱音。僕の対戦相手だ。正直彼女にはリベンジしたいと思っている。まあ、勝ったからリベンジって表現は不適切なんだろうけど。
天宮さんが座り、三人目に移る。
「―――
‥‥‥へぇ、これはまた随分と元気な子だ。それに凄く可愛い。だからなのか、何人か見惚れている人もいる。
少し飛ばして六人目。
「
‥‥‥《快楽機関銃》、中々に恐怖をを煽るような異能‥‥‥いや、そうじゃないな。この学園に入れる以上、悪人ではないんだ。なら―――きっと大丈夫だろう。
そういう事を考えていると、七人目。
「―――
―――大人しいタイプに感じる。だけど、それ以外になにか言うことはない。
「
儚い雰囲気を纏う少女だ。ただ―――異能由来の特殊な気配を感じる。
「‥‥‥白月雪よ。異能は《
確か―――咲夜と戦った子だ。銀髪ロングの髪が揺れ、顔立ちと相まってクールな美人、という感じの見た目になっている。
僕の他にもかなりの人数が見惚れていて、口が半開きのなっている人もいた。
そして、白月雪が席に着き、その瞬間、止まった時間が動き出しかのような感覚に陥っていた。だが―――その次は僕の番だ。
目を閉じ、意識をこの瞬間に集中させる。
「神城悠斗です。異能は‥‥‥《
―――唐突な話だが、僕の異能は現状正確な能力が判明していない。唯一分かっているのは他人の異能を打ち消すエネルギーを発生させるという事だけ。咲夜曰く、それだけが本質ではなく、もっと他の使い方があるだろうと、そう言っていた。
しばらく飛んで二十人目。
「
長髪をポニーテールでくくった活発な印象を与えさせる少女だ。一瞬犬のようにも見えた、とも言っておこう。
「
眼鏡が似合っている文学的雰囲気を持った子だ。それに‥‥‥《錬成の魔女》。一時期話題になった複合型安全上位互換異能と呼ばれたものだった気がする。
―――複合型完全上位互換異能とはそのままの意味で創造系の異能を幾つも混ぜた能力であり、かつその出力は複合元の異能よりも高く、同じ練度だった
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―――個人的に気になった人を中心に見てきたが、長かった自己紹介もようやく終わった。
今日の日程はこれで終了らしく、解散となった教室では生徒たちがそれぞれ談笑を交わしている。
‥‥‥僕もこの中に混ざるべきなのかと考えるが、下手に接し方をミスったらこれから一年気まずさを感じると考えるとあまり容易に話しかけにいけない。
結果、僕は誰とも関わらず帰ることにした。咲夜は用事があるらしく、まだ学園に残るようだった。
僕は学園の校門を出て、ふと後ろを振り返る。それと同時に、この学園に入ったのだと改めて実感が生まれる。
―――僕の夢を叶える為にも、このスタートラインを踏みしめて走りださないといけない。
思考の果てに目を閉じ、また歩き出し、学園を後にした。
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