裏と表それぞれの道へ

bbキャンセル君

始まって終わる

学園長から呼び出された。

ポケットに両手を突っ込みながら、廊下を歩く。

コツコツ

コンコンコン

島雷 湊とうらい みなとです」

「どうぞ」

ガチャ

背の小さい子共の様な学園長。

「ありがとう来てくれて」

「・・・・・・」

「そう睨まないで、じゃあ用件を言うよ。この学校に裏に属する人間を入学させようと思うんだ」


「・・・・・・なるほど。それで私を呼んだというのですか」

「そうそう、君も裏に属していた人間だろ?仲良くしてくれるかなって思ってさ」


信頼の笑み、・・・・・それされたら何も言い返せませんよ。

「良いですよ」

「君ならそう言ってくれると思った。彼らを導いてあげて。後このことは他の先生ならび生徒には内緒にしてくれる?」


「はい、分かりました」


「報酬は・・・・まあね。ちゃんとあげるから安心してね」


「・・・・・・お願いします」


「じゃあ明日からよろしくね」

そう言われたのが昨日の話

自宅で飲み明かした後のまま寝落ちしてしまい

今は出勤の準備をしている。


「頭イテー」


朝ご飯も適当に食べて家を出る。

「いってきまーす」



永光島えいこうとう大学―

学校に着くと、入り口に二人の男性が誰かを待っている様に見える。

しかも所々入れ墨入れていていかにもっていう見た目だった。


「あー君達が噂の・・・・」

鞄から二枚の資料を取り出し、見比べる。

「神崎さんと愛廻さんでいい?」

「おう!」

「貴方が俺達の先生ですか・・・・宜しくお願いします」

意外とさっぱりで驚きの私である。


「まずは君達の事を聞かせて貰えるかな?」

と言って別室へ案内する。


取調室みたいにあるのは、一つの机と三つの椅子だけ。


「まぁ座って」

「失礼します」

礼儀の正しい愛廻さんと

「何も無い部屋だなぁーシンプルっていうかさー」

ぐだぐだぬかす、神崎さん。


「私の名前はこの学校の教師であり、君達の担任である島雷 湊だ。ちなみに私も裏の属している。まぁ今は足を洗ったけど」

二人は裏と聞いて、唾を飲む。


「聞いた話だと君達二人はヤ○ザの家系だって?」

頬杖をしながら問う。

「そうそう、裏世界では有名なんだぜ」

「俺は・・・・別にって感じですね」


「そうなんだー、じゃあさ色々教えて」


緊張をほぐらせる為に色々聞いたり話したりもした。


キンコーンカンコーン!

ベルが鳴る。

「さてそろそろ、授業が始まるね。じゃあ早速だけど次の授業を受けて貰う。あと家系のこととかは他人に話したらいけないこと!これ約束ね」


「はーい」「はい分かりました」


教室を案内すると、早速皆の視線を奪う。


そりゃあそうだろ。


「なんか俺凄く人気者?」

違うだろ。

「いや普通に考えて俺だろ」

違うそうじゃねぇ、ただおまえらの見た目がアレだから注目浴びてんだよ


「そこら辺に座れ。さぁ授業始めるぞ!」


二人は近くの二つの席に座る。



――――――――

授業が終われば、皆が帰る。

今日からまた面白い日常があるんだろうな。

――――一ヶ月後――――

チーム制作で、メンバーの考えが違うことに苛ついて神崎が暴走したので力尽くで止めると

くそっ!と吐き捨て、教室から出て行った。


愛廻君は、遠くから見ているだけだった。


ヤ○ザの組長の息子だから、恐れて誰も文句を言えない環境で生きてきたんだろう。


ただ私は見守ることしか出来ないが、大丈夫彼なら乗り越えられるんじゃないか?


暴走したら止めるだけ。この世界では暴力はダメだからな。


―――1年後―――――

とある優秀な生徒に、なんで俺を見ないであいつらを見るんだと

聞かれた。


私は笑って、価値観の違いだよ、制要君。

って言ったら、悔しそうな表情で去って行った。

聞いていた他の先生から、本当に彼は優秀なのに

ひいきにしないのはオカシイですねって


だから価値観が違うんだって


―――3年後―――――

二人の進路を聞いた神崎君は、人の役に立つ仕事したい!

と答えた。

隣の愛廻君は、まだ分からないと答えた。


そっか・・・てこの時は流してたんだけど


気づけなかったんだ彼の気持ちに


――――さらに1年後――――

神崎君は警察官になった


よかったね、就職できて


愛廻君は?と聞こうとしたときには

もう彼の姿は無かった。


――――???年後――――


連絡が取れない愛廻君が心配の日々を送っています。


何処に居るんだろう?


元気かな?

と考え歩く夜道。今日はとても風が冷たいなぁ。

向こうに見えるのは、街灯に照らされたている男性に見覚えがあって

嬉しそうな笑みを浮かべながら手をブンブン振ってさ、駆け寄り

「愛廻君!!」

と叫んでみれば。

ギラッと殺意を帯びた目で、拳銃を突きつけられる。

「あーーーー!なるほどぉねぇ。周りにいるのは君のお友達かな?だとしたらふざけてるねぇ!!」


この時に確信した、彼は裏に墜ちた。それだけだった。


「先生・・・・・ごめんね。なんてやっぱりこっちの世界ノ方がオチツクんだ」

もう君じゃあない。

間違っているなら正せてあげるよ!!先生としてね!!


ごめんね気づけなくて、本当にごめんね、愛廻君

私は何度も謝りながら、彼と戦うけどさ


結局、救えなかったんだ。情けないよね先生として失格・・・・なんだけど


裏に墜ちても教え子だった人を殴る方が、失格なんじゃ無いかって思うんだ。


――――――――

「っ!今何か嫌な予感がした!!とても鋭くてきつい奴」

同期の警察官は笑って気のせいだって言った。

俺もそうだよなって笑った。


どうか気のせいであってくれ。










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