閑話 保健室でイラストを

笠井かさい つぼみと染谷 桃花がデートをした次の日のお話。


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 コンコン


 私が『R18同人誌、【洗脳シリーズ③】』をデスクで読んでいると、不意に聞こえるノック音。

 いけない。生徒が来てしまった。

 私は急いで私の推しイラストレーターが描いた18禁同人誌をデスクの鍵付き引き出しにしまい込む。


「失礼します」

「はぁい。どうしたの?」


 ノックをした生徒が扉をガララと開けて入ってくるので、朗らかに笑ってそう問いかける。

 ここは私の務める女子校の保健室。

 この場所が、私の仕事場だ。


 今入室してきた女の子は、学校指定のリュックをすでに背負っていて、まるでもう教室には戻らないと決めているかのよう。


「ちょっとここに用事があって来ました」

「よ、用事?授業は??」

「授業よりも大事な用事です」

「そ、そう。許可は貰ってるの?私にはそんな連絡来ていないけれど……」

「大丈夫です。聞きたいことがあるだけですから」

「それだけ?………その荷物は??」

「あぁ、これはですね………えぇーっと。すみません、ちょっとお腹が痛いのでここで休ませてもらっても???」

「……………」


 あたかも取ってつけたような言い訳。

 この子、俗に言うサボり魔ね。

 どうしようかしら。でも、お腹が痛いって言われた以上は、放っておくことも出来ないし。


「………良いわ。そこの椅子を使って。あ、ベッドで横になった方が良いかしら?」

「いえ、ここで作業したいので、椅子で大丈夫です」

「作業?」

「はい。………実はここだけの話、私、イラストを趣味で投稿してまして。それをちょっと」

「へぇー、そうなの。先生にも見してくれたり?」

「いやぁ、それはちょっと恥ずかしいです///(えっちなイラストだから、見せられないだけ)」

「そうなの?それは残念。でも、私にもね、好きなイラストレーターさんがいるのよ。その方、薄い本も出してるんだけどね。私はそれが大好きで。つい先日その方がSNSで『シリーズの続き描いてます』って言ってて、正直楽しみで仕方がないのよね」

「そうなんです?すごい偶然ですね。ちょうど私も今、趣味で描いてるシリーズ作品の続きを描いてるところなんです」

「へぇ!そうなの!?なら、余計に見てみたくなっちゃったわ」

「えへへ。そんな、人に率先して見せれるものでも無いですので」

「そう?本当に残念だわ」

「すみません………」

「いいのいいの!………それで?だいぶ脱線してしまったけれど、私に聞きたいことって?」


 私はリュックから大きなタブレットを取り出す女の子に本題を聞いた。

 そしたら、彼女の口から思わぬ人物の名前が出てくる。


「そうだった。あの、ですね。染谷 桃花っていう子のこと知ってますよね?あの、、写真を一枚見せてもらうことって出来ますか?」

「え?そ、染谷さんの??」

「はい。まだメールだけで本人とは会ったことがなくて、友人には見せてと言っても断られてしまい、本人は自分の写真は持ってないし、トーク履歴とかで保存されるかもしらない写真は送れないと言われてしまったので………」


 彼女はそう言って、少しションボリとしてしまう。

 どうしよう。彼女はこう言ってるけれど、本人に確認取らないとマズイことだと思うし。彼女のことを信じていいかも分からない。


 それに、私が持ってる彼女の写真は、彼女の寝顔だけ。

 それを彼女が、私が持ってることも知っていて、なおかつこの女の子に見せることを許可した?にわかには信じ難い。


 けれど、私は思う。

 私のベストショット、誰かに共有したい。自慢したいとは常々思っていたことだ。

 一人にくらい、大丈夫よね?


「…………仕方ないわね。一枚だけよ?」


 私はスマホのお気に入りアルバムからベストショットを一枚、女の子に見せた。













◇ ◇ ◇

side ???



 え、




 やば、、






 染谷 桃花ちゃん。

 私の友人の笠井 蕾の想い人。














 めっちゃ私の好みなんだけど!!!


 私は一目惚れをした。

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