第5話 ゴブリン撃破!
うげぇ、ゴブリンだよ。
まーたモンスターだよ。
よし、こっち来たら倒そう。
スライムは動きもゆっくりでよかった。それに、攻撃手段が体当たりだけだった。
しかし、ゴブリンはスライムよりは動きが速いうえに武器も持っている。
強そうだなー。
背が縮んだことで、元々想定していた背丈よりも大きく感じるだけあって、恐ろしさが三割くらい増しているように思う。
「キー!」
「やっぱり向かってくるよな……」
俺に気づくなり、ゴブリンは奇声をあげながら、武器を振り上げて俺に向かってくる。
こんなに連戦するものなのか?
初めてだから多いのか少ないのかわからないけど、また戦うことに……。
しかも、俺が弱そうだからか、ゴブリンの動きが加速してる気がするし。
まあ、大丈夫。一回できたんだし、次もいけるはず。きっと、多分!
「キキー! キエー!」
「よっ、ほっ! っと」
少しずつだけど、確実に今の体にも慣れてきている。
ゴブリンの攻撃も、単純で大振りなのが初心者の俺でもとても読みやすくかわしやすい。
簡単なバックステップで攻撃はかわせる。
が、
「キキ! キケッ!」
「ほっ、ほっと」
今のところ後ろに下がってばかりで攻撃ができていない。
受け身や攻撃後の回避が取れる状況じゃないし、安易に攻撃に出られない。
さて、どうやって攻めに出ようか……。
「キキィ……」
すると、ゴブリンは刃こぼれしまくりの剣を、ただやみくもに振り回すのをやめた。
攻撃をかわされまくって作戦を立てることを学習したのか?
いや、ゴブリンは集団での行動が基本って聞いた気がする。
そう思ってダンジョン内を確認してみると、確かに少し先にゴブリンの集団らしき反応がある。
一体一体は造作ない相手でも、今の俺が仲間を呼ばれるのはまずい。
「キケ、ケッ!」
「ふっはあっ!」
「ギャッ!」
叫ぼうとしていたところに剣を振る。姿勢が悪かったせいか剣で防がれてしまったが、破壊に成功。
今はまだ仲間も呼ばれていない。
「武器がないならもう怖くないね。近づこうにも今の俺じゃリーチが微妙に足りなそうだったから、近づけなかったけど、これで大丈夫」
「キ……キキッ!」
「あ、こら!」
背を向けて逃走するゴブリン。
距離を取って助けを呼ぶつもりか。
だが、そうはさせない。
「遅い!」
一気にゴブリンの前に回り込み、俺は剣を振りかぶった。
「くらえ!」
「きゃあっ!」
「へ?」
ゴブリンの体に剣を下ろすと、その瞬間、何やら女の子の悲鳴のような声が聞こえた気がした。
「気のせい、だよな……?」
近くを見回してみるが、叫んだらしき少女の姿はない。
おそらく、ゴブリンの鳴き声だったのだろう。最後の力で叫ぼうとしたのだと思うが、そのせいでいつもと違う声が出た、とか? 多分、きっとそうだ。
しかし、遠くの集団の方は動く様子はなし。気づかなかったようだな。よかったよかった。
「さて、と。今回も多いな」
ゴブリンはそんなにアイテムを落とすイメージはなかったが、スライムに引き続き今回も大量だった。
「えーっと? えーと……えぇ…………」
ワクワクして近づいたのだが、なんだかスライムの時と様子が違う。
自分の顔がひきつっているのが手に取るようにわかる。
「これは、スカートか? ところどころ破けてるし。これは……あれだ。女の人が履いてるストッキングだっけ? 他は、いや、うん……」
見た感じどれも女性ものの服だった。
女性の落とし物を拾ったのか、一から素材を集めて作ったのか、探索者から奪ったのか……。
何にしても、あまり考えたくない。それに、これを装備するのは俺の倫理観としてもNOだ。
「今回のアイテムは落とし主がいるかもしれないし、持ち帰って届けるかな?」
絶対に俺は装備しないからな。
改めて自分に言い聞かせるようにしてから収納スキルで収納していく。
「あれ? ダンジョンってもしかして世間で言われてるほど怖くない? むしろ余裕じゃないか? いや、たまたまだよな」
そうだ。たまたまだろう。きっとたまたまだ。余裕だなんて気を抜いたやつから命を落としていくのだ。
俺はまだ二回しか戦闘を行っていない。判断するには早い。
それに、ここは上層だ。上層でダンジョンを判断するなんてプリンのカラメルしか食べないようなものだ。知らないけど。
「とにかく、戻るのが遅いから、とゴブリンたちにやってこられたら困る。今取り囲まれるのは展開としてよろしくない。迂回してさっさと帰ろう」
多少時間はかかるだろうが、迂回すればゴブリンの集団をさけて通れる。
ダンジョンの入り口に戻るには少し遠回りにはなるが、モンスターとの接触も少なく戻れそうだし、そっちにしよう。
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