剣の守人

第38話 サイクロプス(羽人の場合)

「グオオオォォォォォーーーーーー！！」

　城の中庭にて。我が物顔で暴れ回る一つ目巨大怪物のサイクロプスに向かって、オレは怯むことなく銃弾を撃ち込むが！？

　キンッ！キンッ！

「跳ね返した？　あの図体くせにシールド（魔法障壁）を張ってんのかよ！？」

　もっとも、ここまで大きな魔物に対してこんな小さな弾丸であっさりと絶命出来るとも思ってねぇが……

「っと、危ねぇ！　あの野郎……あんなデケェ庭石をいとも簡単に蹴飛ばしやがった！」

　オレはサイクロプスの脅威に苦慮しながらも、どうにか決定的な攻撃ができないかと思考する……っで、出した結論はというと？

「オラオラ！　かかって来いよノロマのデカブツ！」

　情けなくも、取り敢えず挑発しまくることだった。

「ガアアァァァァーーーー！！」

　ただこの作戦。意外にも有効だったらしく、相手は一つしかない目玉を血走らせながらオレが立つ地面へめがけて巨大な拳を振り下ろしてくる！！

「おっと！　そんな単純な攻撃が当たるかよ！」

　言葉通りに余裕で避けられたが、拳の威力は轟音（ごうおん）を響かせて地面へ深くめり込む！！

「チャンスだ！」

　めり込んだサイクロプスの拳へ飛び乗ると、そのままヤツの腕を一気に駆け上がって肩口へ乗っかる！

「よぉ、しばらくぶりだな？」

　そして、文字通りの眼前に立って挨拶を交わした後は、素早く馬鹿デカイ目ん玉に向かって銃弾の礫（つぶて）をぶち込んだ！！

「へっ！　さすがに目ん玉にまでは、シールドは張れる訳ねぇよな！！」

　勝利を確信するが、しかし！？

「なにっ！？」

　あろうことか、サイクロプスはオレが乗っている方とは逆の掌（てのひら）を目玉の前で広げて攻撃を防いでいたのだ！

「ちっ！　デカブツのくせに、せこい真似をしてくれるぜ！」

　一転して窮地（きゅうち）へ陥りそうになるも、チャンスが続いてると判断して再び連射！！

「そら！そら！そら！そらぁぁぁぁーーーー！！」

　さらに前方に広がる掌（てのひら）に向かって踏み込んで距離を詰めつつ、広げている掌の中指付け根へ集中的に銃撃を浴びせ続け……地しぶきと共に弾け飛ばす！！

「グギャアアアアアアアアーーーー！！！」

　痛みで劈（つんざ）くサイクロプスの悲鳴！　だがそれに構わうことなく、オレは失くなった中指の隙間から掌をすり抜ける！

「よぉ、また会ったな？」

　文字通りの“にらみ合い”の態勢になり、状況的には圧倒的にこちらが有利なった……ので！

「悪いな、ちょっとばかり痛い目に会ってもらうぜ！」

　そう言って、至近距離から撃たれる銃弾は当然の如く全弾が命中して……

「ブギャアアアアアアアアーーーーー！！！！」

　サイクロプスは再び憐れな悲鳴を響かせる！！

「へへへ、やっぱりどんな生き物（イキモン）でも目玉は急所に……」

「ガアアアァァァァァーーーーーー！！！」

「なっ！？」

　攻撃が効き過ぎたせいか、サイクロプスは巨体を震わせて激しく暴れ狂う！！

「とっ、とと……や、やっぱり目ん玉を潰しただけじゃ大人しくはしてくれねぇか！」

　ならば頼れるのは……

「オイ四天！　お前の魔法でコイツを……え？　何をやってるんだアイツ等（・）？」

　見るとそこには、四天が例の騎士団長に肩車をされて仲良く遊んでいる姿があった！

「あ、あいつ……人が必死になって……いや、あれは？」

　違う。彼等は決して遊んでいる訳ではなかった。それどころか、肩車のままで邪魔な瓦礫を避けつつ何かをやろうとしている様子だ！

「そ、そうか！　四天のヤツ、ア（・）レ（・）をやる気だな！！」

　彼女の次なる行動を察知したオレは、これから起こる惨事に捲き込まれたくないため、急いでサイクロプスの身体から脱出する！