曖昧な記憶

彩音ミミ

第1話 梅雨

子供の頃のこの時期は毎日毎日ずっと雨が降っていた記憶がある

外で遊べない 児童館 友達の家 自分の家 どこで遊ぶのか悩んだ

家に呼ぶのにお母さんに「今日 友達と家で遊んでもいい?」と

聞いて いいよと言われたら学校で友達を誘うのだ

○○ちゃんと約束したからとか都合が悪いとかなかなか上手くいかない

結局 近所のいつも遊んでいる子と遊ぶことになる。この子とは

いつも一緒だが最近 弟が生まれたので家の手伝いをしなければ

ならなくて4時までしか遊べないのだ。盛り上がってきたぞ のタイミングで

バイバイなのだ。不完全燃焼。だがお互い厳しい母親の目から離れ発散する

時でもある。人形やおままごとセットを用意して待つ。

しとしと降る雨の音、外は灰色 早く来ないかな~とゴロゴロしているうちに

寝てしまったようだ。友達が来てなかなか起きないので帰ってしまったと

お母さんの声で目を覚ます。せっかく来てくれたのに!とお母さんの小言。

謝りに行っといで!そう言われまだ眠気半分のまま友達の家へ行く

アパートの戸を開けると玄関に沢山の洗濯物がぶるさがっていた。

この頃 うちの周りはアパートが多く それも共同トイレが当たり前のことだし

お互いに何でも共同協力 助け合い暮らしていた。友達の家から赤ちゃんの泣き声

おむつが干してあり中が見えない。忙しく大変そうだ。名前を呼んで「今日は

ごめんねー」と叫ぶと「いいよ~また明日ね」と返事があった「明日ね~」

そう言って帰ろうとすると3号室のおばちゃんが「これ持ってきな~」と揚げたて

のコロッケをくれた。傘と熱々のコロッケ サイズの大きい長靴 落とさないよう

転ばないように泥道を歩く。早く雨やまないかな~ うちもそうだけど あの

沢山の洗濯もの片付けられるのに 何より公園で遊びたいな 梅雨は嫌いだ。

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