第37話 困りごと
我が家に新しい電子レンジがやってきた。
第31話「こわいはなし」第32話「プリンセス後日談」の言うなれば続きである。
読み返す気のない可愛い読者さんのために簡単に説明すると
「ある日セイロク家の電子レンジ扉の二重窓のなかに突如現れた、蛾。
入口もない、出口もない。勝手に囚われの身になりにきた、
勝手に入ったのだから勝手に出ていくだろうと思っていたが、どうやら
本気で出られなくなっているらしいことが判明。
レンジを使用しても苦しむふうもなく“窓の中”で元気にパタパタ羽ばたいているので、もはやこちらも飼っているような感覚に陥り「おはよう」や「ただいま」の
声がけをしていたのだが10日ほど経ったある日を境に姿が見えなくなってしまった。
窓の中でお亡くなりになっているのであれば、これはもう電子レンジではない、
棺だ。
そのまま使い続けることも検討したが電気屋さんにプリンセス救出を相談した手前、
新しい電子レンジを買う流れになってしまった。
セイロク家の提示した条件は「あたため機能のみ」。オーブン機能があったとて、私には到底使いこなせないからだ。
だからもう、あとには引けない。さようなら、プリンセス。」
2話分のあらすじはこんな感じだ。
そんなわけで精六さんの友人である電気屋さんセレクトの電子レンジがやってきた。
日本有数のメーカー製の、
まさかのダイヤル式である。
残り何分(秒)の表示窓もない。
納品されたのは夜だったので改めてダイヤル電子レンジと対峙したのは翌朝。
いきなり困ったことになった。
昨日旅立った「プリンセス号」は「500ワット」と「600ワット」の二択だった
のが、
今回は「500ワット」と「強」の二択だ。
強・・・ってナニさ。
昨日置いていってくれた説明書を開くと「強」は「650ワット相当」と書いてある。
ダイヤルは0→20→40→1分→1分30秒…と続いており、微調整不可。
冷凍食品を使わない方にはわからないかもしれないが、お弁当用冷凍おかずは
だいたい500ワットもしくは600ワットの分(秒)数で書いてあるのだ。
今温めようとしている冷凍食品パッケージには「500ワットで30秒もしくは
600ワットで20秒」と書いてある。
500ワットで30秒も無理、600ワット20秒のところを650ワットで温めた場合、
50ワット強い分は一体全体、何秒少なくすればいいのか。
20秒を選んで5秒前くらいに強制終了する、とか?
それってつまり電子レンジの前でストップウォッチのようなものを握りしめて張り付いてないといけない、とか?
んなこと、やってれんわい。
電器屋さんに怒っているわけではない。
メーカーも試作を重ねてこの商品は売れると確信して世に送り出したのだから、
選んで買ったコッチが文句を言う道理はない。
しかし、まぁ、とっても、FU・BE・N♪
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