【精六さん小咄】ー家事ー
社名が変わったからと言って、仕事の量も内容もさほど変わっていないのに
忙しく過ごしています。お盆の頃に台風で延期になっていた精六さんが参加する
車の大会もようやく先週末に行われましたし(今年は予選敗退。残念)、
古くからの友人(とそのご主人)と京都高島屋で開催されていた『ときめきトゥナイト展』及び『バナナマンのせっかくグルメフェア』に行ったり、私にしてはわりと
休日もアクティブに過ごした3週間でした。
閑話休題。
キャンプの話があまり筆が進まなくなってしまったので、小咄ですこし暖気。
去年、とある電機メーカーさんがSNSで「死ぬほど嫌いな家事を教えてください」
というアンケート企画を実施されていました。
私はSNSをうまく使いこなせていないので参加もしていませんし、失礼ながら
その結果、なにが1位だったのかも現時点で存じあげませんが、
“死ぬほど嫌い”という言葉の強さもさることながら、私は感動もしておりました。
なんだ、みんな、あるんだ、と。
私の周りは、いや、世の中みんな、やたらと頑張り屋さんなもので
どちらかと言えば「デキる」話はしてくれるけども、家事についての弱音をあまり
聞いたことがなかったのです。
40歳で結婚するまで実家住まい。家事手伝い一切しない独身貴族を謳歌していた
わけでもなく、母は体調が優れない日も多かったため掃除や洗濯は主に私の担当
でした。そのころは父も健在で、スーパーに行くことを日々の楽しみとしており
ましたので、我が家は年中、父が買ってきてくれるスーパーのお惣菜を食べてい
ました。
実は父も母もかなりの偏食で、父は酒とつまみとカステラの切り落としさえあれば
いい人。母は納豆と冷凍うどんさえ常備してあればなんの文句も無い人。
そして私は「白ごはんに合う何か」があれば事足りる人で、父がスーパーに行け
ない時には、仕事の帰り道に卵を買うか、しらすの釜揚げ、ごりかしじみの甘辛く炊いたやつ、カニカマ(醤油・マヨ・七味トッピング)あたりをローテーションで晩御飯としていました。
つまり、と言うのも若干乱暴ではありますが、私は「料理(調理)」が嫌い、だったのです。
40歳と言えば、立派な大人です。
若い頃のオトナのイメージは「なんでもできてあたりまえ」。家事は当然、全ジャンル知恵袋級。時節の挨拶から始まる御礼状などお手のもの。冠婚葬祭の知識なども
グーグル先生に訊くまでもなし。当然、魚は捌けます。家に帰れば冷蔵庫にある食材でちゃちゃっと3~4品同時進行で作り上げ、使った調理器具は合間に洗い上げて
手元スッキリ。ミシン得意、手縫い上等。アイロンがけなど手元を見ずとも
スイスイできて、私が「すごいね」と言ったらきっとその人は謙遜しながら言うでしょう。
「まぁ、40年も生きてりゃあ、ねぇ?」
私には一生言えない台詞です。
これがたとえ還暦になり、古希を迎え、米寿を迎える頃になっても、
努力をする予定が無いのだから、これからも魚は避けません。ほかも然り。
インターネットという万能辞書を手に入れてしまったので、お客様に出す羊羹の
厚みもググります。冠婚葬祭のたびに「お札の向き、どっちだったっけ」と迷い続けて私は生きてゆくのです。
話を戻しますと、料理(調理)は嫌いですが、食べることは大好き。
「死ぬほど嫌い」かと言われれば、「おいしい」という対価があるため、そこまで
苦ではない気がしてきました。
精六さんも食べ物の好き嫌いがあるほうですが、買ってきたものだろうが冷凍もの
だろうが「うまければOK」なので、とてもラクです。
たまにインターネットで見つけたレシピを試したりすると、その大いなる手作り感に
感動すらしてくれるので、最初に苦手だ、嫌いだ、自信が無いとさんざん吹き込んだ
のが功を奏しているのだと思います。
では、何が死ぬほど嫌いか。
アイロンがけ、一択です。
精六さんは毎日ワイシャツを着るので、新婚当初は休みの日にまとめて3~4枚を
アイロンがけしていたのですが、軽く2時間はかかってしまう手際の悪さ。
テレビを観ながらちょっとでも手の動きを緩めようものなら3時間くらいかかる。
背中のタックから掛けるとうまくいくとか諸先輩方ないしネット情報でいろいろ
教えてもらって試したのですが、ある日心が折れました。
近所に平日ならワイシャツ1枚98円で仕上げてくれるクリーニング屋さんがある
のです。これぞ共働きの特権。私は自分の時間をお金で買うことにいたしました。
一択とはいえ、嫌いな家事はほかにもあります。
洗濯を干すのは好きですが、たたむのはめんどくさい。たたんでからそれぞれの
引き出しにしまうのがまためんどくさい。
掃除機は好きですが、窓ふきは嫌い。雑草引きのも季節によっては憂鬱でしかない。
食器を洗うのは好きでも嫌いでもないですが、大きめのフライパンや鍋を洗うのは
いつもげんなりします。
そもそもどんな家事でも「当たり前」のように出来る人は、とても要領の良い人だと
思います。
職場にもいます。掃除がうまい。整理整頓術に長けている。手際が良い。
反対に私はいつもオドオドしているような気がします。
「当たり前」がわからない。間違っていたらどうしよう、と常に思っている。
まあ、そんな性質だからこそ「石」にハマったりするわけですが。
だから「キャンプ」は自分の臨機応変能力や、日ごろの家事知識を“試される”のでは
ないかと、すごくすごくイヤだったのです。
いうなれば「・・・そんな手順でジャガイモ剥くんだ・・・(笑)」「あ。それ、水から煮ちゃうんだ・・・?(笑)」みたいな辱めを受けるのではないか、と。
それが杞憂に終わったのは、精六さんが私以上に家事知識を持ち合わせていなかったこと、ほかの家族と合流などせず、二人でいるのに各々が好き勝手に過ごす
“ふたりソロキャンプ”のようなスタイルを確立したことが大きかったと思います。
そんな話を「キャンプする人ー②ー」で書ければと思っています。
ちなみに。書き終わる前に、そのアンケートが実施されたときの記事を検索して
みました。いわゆる「中の人」もアイロンがけと、洗濯たたみが嫌いとのこと。
みなさんは、どうですか?
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