第20話 全滅
第1回カクヨム短歌・俳句コンテストの結果発表があった。
全滅、である。
自信があったわけではない。しかし、自信が無かったわけでもない。
応募した人、そして落選した人、皆そうなのではないだろうか。
「第1回」というタイトルも「もしかしたら」というモチベーションになっていた。
何がうけるかわからないので、毛色の違う歌も詠んでみたりした。
完全なワンチャン狙いであった。
しかし受賞された作品をみていると、やはり「なるほど」と思う。
素直に、その才が羨ましい。
私の詠む歌は「31文字遊び」で、「ほぼ短歌ではない」ので、選ばれなかった
のも「なるほど」なのだ。
コンテストの応募期間中のある日のこと。
精六さんが私の応募作品数点に目を通したことがあった。
そして精六さんは、私のおでこにキスをしてからこう言った。
「俺には刺さらんけど、誰かには刺さるよ」
その時点で私のワンチャン願望は、まあまあ揺らいだ。
「ええやん」とも「わからん」とも言わなかったのは彼の優しさとして。
私が求めているのはその場の温度だったり、匂いだったり、胸の痛みだったりを
31文字で表現しているだけなのだ。
でも、私はそれが好きだ。
だから「誰か」には刺さっても、精六さんの心には一生刺さらずじまいかも
しれない。
それで、いい。
とはいえ。私も「認められたい」と思う気持ちはある。
それが短歌なのか、まだ詠んだことがない俳句なのか、書いたことがない歌詞
なのか、小説なのか、エッセイなのか。書いてみないとわからない。
全滅だったからと言ってクヨクヨしてたらなにも書けなくなってしまう。
今のスタイルで、第2回を応募してみるつもりだ。
負け惜しみくらい、言わせてほしい。
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