独特な手法

第1話 独特な手法

とある居酒屋でのこと。

「あの、今度撮らせてください！」

カメラマンの男が目をキラキラさせて話しかけてきた。

見た目はチンピラ瞳は子供。コナン顔負けのキャラである。

どこかアブナイ感じの人だったが、撮りたいと言われて悪い気はしなかった。

僕が過去の作品を見たいというと、彼は意気揚々とiPhoneのアルバムを見せてくれた。

「……おぉ」

そこにはアルバム一面ほぼ男の写真があった。しかも、モデルはみんな上裸である。

「こういうの撮りたいってことですか？」

「そすね！　こーゆー感じで気持ちよくなれたら！」

ん？

今、なんつった？

気持ちよくなれたら？　どゆこと？　気持ち上げていくみたいなこと？　だよな？

「あ、会話で？　気持ち？　上げていく？　みたいなこと？　ね……ですよね？」

僕はちゃんと動揺していた。

すると彼は真っ直ぐ僕を見て言った。

「まぁ、わかりやすく言うとセックスです」

わかりやすい！ まんまだもの！ まんま言うてるもん！ セックス言うてますもん！

「え、実際この人たちと……」

「はい、で、めっちゃいい写真撮れますよ！」

うそつけ！　ただのセックス狂者だろ！　なんだその潤んだ瞳は！　悪質だな！　マジで！

「あぁ、僕ちょっと上裸はNGなんですよぉ」

僕が嘘っぽい嘘をついてiPhoneを返すと、すっかりテンションを下げた彼が言った。

「あ、でも僕ゲイじゃないっすよ」

どうでもいいわ！！！