しやがまねば
南幸佑
しやがまねば
栗鼠はしりゆく早春の梢あり
竹林はきさらぎ冷えの行きわたり
にはとりのよそ見歩きや日永なる
学蘭の一群とほく蝌蚪の紐
苗市の脚立の軋みやまぬかな
しやがまねば見えずからすのゑんどうは
三椏の花あくびして声出づる
さへづりや素足に歪む縄梯子
山笑ふ芝の堤に寝転べば
月は朧のここにまた拉麺屋
夏立ちにけり和太鼓のふとき撥
黒揚羽おほきく枝を伝ひ落つ
風浴びしつかれを薔薇園にねむる
薔薇園の椅子くろがね製ぞぐらつける
窓際にギター据ゑけり夏館
くちなはや小説読まず映画見ず
ひねもすを髪撥ねてをる泉かな
信長の愛刀とかや瓜冷す
自転車にほたるぶくろを見に行くと
舟底へ白鯉もぐりゆきにけり
しやがまねば 南幸佑 @south373_haiku
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