革命的魔法学園大戦〜適正属性無しの落ちこぼれ少年が魔法界一の魔法使いになるまでの物語〜

プロローグ

　魔法、それはこの世界の基盤を作った偉大な技術。故にこの世界は魔法界と呼ばれている。

　かつて魔法界は、さまざまな勢力が争い合う群雄割拠の世界であった。その争いの果てに法皇と呼ばれる魔法使いが魔法界の統一を成し遂げ、法皇の名の元に争いのない平和な時代が訪れた。

　そして、かつては争いの道具となっていた魔法は平和な時代の中で姿を変えた。

　小さな人間でも、魔法を使えば赤い魔法陣から射出された爆炎で巨大な森を焼き払える。美しいエルフが透き通るような声で呪文を唱えれば、荒地は花畑に変貌する。

　強大で神秘的な魔法は、見る者全てを魅了する。故に人々は考えた。魔法を殺し合いの道具ではなく、人々を熱狂させるスポーツに使おうと。

　このような流れで考案されたスポーツは、魔法が殺しの道具としか考えられていなかった草創期には皮肉を、確かな実績のもと人々を熱狂させている現在では畏敬を込めてこう呼ばれた。

　魔法遊戯（ウィザーズプレジャー）。

　魔法界の各地域でプロリーグが開設され、誰もがその頂点を目指す世界的なスポーツ。かつての殺し合う時代とは形を変えた、魔法使いたちのプライドを賭けた真剣勝負。

　この熱狂の世界で、少年少女もまた夢をみる。

「魔法界一の魔法使いになる」

　これはそんなありがちで無謀な夢を抱いた少年の物語だ。