第5話リナ(22)
本日は少しだけ大人な話をすることになる。
大人なとは性的な話ということだ。
閉店間際にやってきた女性はリナ(22)社会人一年目。
彼女は覚えたてのお酒を楽しむために少し背伸びをしてバーにやってきたそんな女性である。
「マスターってどんな性癖がありますか?」
「性癖ですか…あまり目立ったものはないかと」
「えぇ〜つまんないね」
「そうですか?あったとしてもリナさんに言うことはないかと」
「じゃあ凄い性癖があるんだ?」
「いえ。そういうことでは…」
「まぁ良いんだけど。今カレと凄く相性が良くてさ」
「話の流れ的に身体のということですか?」
「そうそう。それに性癖も合うの」
「なるほど。どのようなものですかね?参考までに教えてください」
「うん。私は苦しいのとか痛いのが好きなの」
「なるほど…」
「それで彼は行為中だけ痛めつけるのが好きで。激しいの」
「左様ですか」
「酔って行為に入ると凄くて」
「そうなんですね」
「あんまり興味無い感じ?」
「そうではなくて…どの様な反応をすれば良いのかと困っていただけです」
「困る必要ないでしょ?私から話し始めたんだし」
「それはそうですが…」
「まぁ。とにかく相性の良い相手とやっと巡り会えて嬉しいって話」
「今までにはいなかったのですか?」
「いなかったね。みんな優しく丁寧に抱こうとするからつまらなくて」
「それを相手に言ったことは無いのですか?」
「言うわけ無いじゃん。大事にしてくれてるの分かるし。プライド傷つけそうだし」
「そうですか。確かに女性側からつまらないと言われたらショック受けそうですね」
「でしょ?だからあまり言えなくてね。今までの恋愛はそれが原因でストレス溜まって別れるパターンが多かったんだよね」
「なるほど。相性は大事なんですね。勉強になりました」
「いえいえ。これから彼の家に行くんだ」
「そうですか。ではお楽しみください」
「ありがとう」
リナはそれだけ言うと会計を済ませて店を後にする。
残された僕は若干の気まずさを感じながら閉店作業に入る。
「今の何だったの?」
キッチンから顔を出したミアは怪訝な顔をして店内に現れる。
「話聞いてたか…」
「そりゃ聞こえるし」
「人それぞれなんだな」
「あれって逆セクハラじゃない?」
「そうかもな」
「ってかジョーに気があるでしょ?」
「無いだろ。彼氏と順調だって言ってたし」
「いや、それは無いと思うな」
「なんで?」
「じゃあなんで彼氏と一緒に過ごせる時間を削ってここに来たと思う?」
「彼氏に予定でもあったんだろ?」
「浮気されてるんだよ」
「飛躍し過ぎじゃないか?」
「そんなことない。彼氏が浮気しててその相手が帰るまで時間潰してたんだよ」
「そうだとしても僕に気があるとはならないだろ?」
「いやいや。気があるから性癖なんて話すんでしょ?」
「そうなのか?」
「そうじゃない相手にそんな話しない」
「なるほどな。僕には気は無いけど」
「だろうね。早く閉店作業終えて帰ろ」
「あぁ。仕事は慣れたか?」
「うん。もう夜型の生活もバッチリ」
「休日には陽を浴びたほうが良いぞ」
「わかってる。明日ベランダで飲も」
「はいよ」
僕らは会話をしつつ閉店作業を終えると帰路に就くのであった。
余談だが翌日の休日にミアとベランダで陽を浴びながらお酒を嗜むのであった。
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