最終話

公園

宮本、ぼんやり座っている。

下校中の小学生らしき声が聞こえる。


男の子

「今から白い線から出たら死亡な。」

女の子

「なんでよぉ。先生に怒られるよ。」

男の子

「良いじゃん。」

女の子

「えー。」

男の子

「あっ、お前しぼー。」

女の子

「はぁ?」


身体が震える宮本。

娘、そっと宮本の隣に座る。

暫くの沈黙。


娘 

「私、お父さんとウエディングロード歩けて良かった。」

宮本

「……。」

娘 

「おじさまの所為じゃないです。」

宮本

「先輩、変な事言ってたんだよ。真剣に。」

娘 

「へ?」

宮本

「白線を跨いだら死ぬって。」


娘、笑う。


宮本

「……本当だったのかもしれない。」

娘 

「……。」

宮本

「……。」

娘 

「だとしても、おじさまの所為じゃない。たまたまです。」

宮本

「でも……。」

娘 

「ウエディングロードは白線じゃありませんから。」

宮本

「白い線であった事は間違いないから。」

娘 

「白線はあくまで白線。あの石畳はウエディングロードなんです。」

宮本

「……。」

娘 

「おじさま、私もお父さんと一緒の気持ちですよ。」

宮本

「え?」

娘 

「会社を守って欲しい。」

宮本

「……。」

娘 

「おじさましか居ません。」

宮本

「私で務まるのかな。」

娘 

「あんまり弱気だと化けて出て来ちゃいますよ?」

宮本

「……その方が」

娘 

「私は絶対に嫌だな。」

宮本

「え?」

娘 

「全力で冥土の何かを話してきそう。」


娘、笑う。


宮本

「確かに。」

娘 

「絶対にウザいですよ。」


宮本、笑う。


娘 

「宜しくお願いします。」

宮本

「はい。」


娘、宮本にお辞儀をして去る。

元気に遊ぶ子供達の声が聞こえる。

宮本、立ち上がる。



(終わり)

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桑花 @yuzu_dora

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