明日の計画を立てたし宙に浮いて寝るか

「……はっ!」


 ん? どこだこの部屋?


「あ、ようやく起きたわね」


 ルリカがいる……って事はここは彼女の部屋か?


「そうよ、私の部屋」


「おやおや、いつの間に心を読める裏技をやったので?」


「ただの勘よ。ていうかそんな裏技もあるの!?」


「今のところはまだない」


「……もう! からかわないで!」


 そう怒りながらもルリカは俺に水を持って来た。


「ほら、飲む?」


「……ありがとう」


 グイッと一口で飲み干して、また横になる。


「あの後、貴方立ったまま気絶しちゃってたのよ?」


「はははっ、お恥ずかしーところをー」


「良いのよ、今日私もおんなじ様な事しちゃったし……」


「ああ、あの時のか。全然気にしてないよ」


「なら良いんだけど……」


 ルリカが俺の隣に腰掛ける。


 ……こう見るとルリカって意外と美人だな……。


「? どうしたの?」


「い、いやぁ何でもない」


「…………あのさ」


「ん? どうした?」


 少しルリカがもじもじし始める。


「おいおい……本当にどうしたんだ?」


「わ、私と……」


「私と?」


「パ、パーティーを組まない!?」


「……俺らパーティー組んでなかったのか?」


 昨日の握手した時点で組んでると思ってた……。


「だ、ダメかしら?」


「待て待て、質問に答えろ、昨日のあの握手した時点で俺らはパーティーを組んでなかったのか?」


「あれは……一応、仮な感じだったじゃない?」


「仮ってなんだよ仮って……」


「だから、今ちゃんとパーティーを組むの! 明日はよろしく、イイジマ」


「……こちらこそよろしく、ルリカ」


 そう言うと彼女は先程ラズィスさんから貰った地図を机の上に広げる。


「お、早速さっそく明日の計画立てるのか?」


「そうよ、流石に無計画でやるわけにはいかないしね」


「それもそうだな」


 そして俺らは明日の計画を立て始めた。


「明日はここまでテレポートして行こう」


「ここで30分程休憩を取るのは?」


「ライガウルフがここにいたらこう展開するぞ」


 そんな感じで計画を立てた。


「ま、大体こんなもんだろ」


「そうね」


 三時間ほど話し合い、大体の事が決まった。


 まず、ライガナ森林にテレポートし、ライガウルフの巣が近くなったら近くにある洞窟で休憩&最後の点検と覚悟決めしていざ突撃。


 ライガウルフの巣の地形は地図の裏面に載っていたので分かる。


 というかゲーム同じだろうから分かるんだけどな。


 そんで群れの数はざっと八匹だそうだ。


 中々多い。


 まあもっと群れる魔物とかもいるからそいつらに比べればだいぶマシな方なんだが。


「それじゃあ明日は早くなるだろうから俺はもう寝るぜ」


「それじゃあ私も寝るわ、おやすみ」


 そう言ってお互い同じベットで寝ようとする。


「「――ん?」」


 待てよ、この部屋にはベットが一つ。


 他に柔らかそうなものは見当たらない。


 ……え、一緒のベットで寝るやつ? 嘘だろ?


「あー……俺は床で寝る、ルリカはベットで寝る、これで良いな?」


「え!? 貴方がベットで寝るべきでしょ!」


「何でだよ」


「貴方が今日一番働いたじゃない」


「……確かにな」


「認めるんだそこ……」


 いやでも女性を床に寝させるのもなんか罪悪感がある……。


「分かった、ルリカはベットで寝る、俺は裏技で宙に浮いて寝る、どうだ?」


「どうだ。じゃないわよ何よそれ!?」


「そんな驚く事か?」


「宙に浮いて寝るなんてパワーワードをやる人なんて見た事ないわ!」


 そりゃあ……そうだよな。


 寝たら魔法使えなくなるし使ってても切れるし。


「裏技使うんだよ裏技」


「この宿にもあるの!?」


「裏技は至る所にあるからな」


「怖い、この人とこの世界が怖いわ……」


「じゃ、おやすみ」


 そう言って俺はベットの上で数回飛び跳ね、でんぐり返しやバク転をして宙に浮いた。


「ほ、本当に浮いてる……」


 そんな宙に浮かぶ俺を見続けるルリカと、女性に見られ続ける事に慣れてない俺は、どちらも中々寝付けないのであった。

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