セイショク の トクトリス

ぽにちっち

第一章・生まれ育った街編「輪姦してほしいのよ」

1 幼少の頃 ユニコーン『空飛ぶ収穫者』



私の名前は【トクトリス】。種族はサキュバス。

これは私が幼少の頃、ユニコーンの【ユニコ】に出会った時のお話。




 ◇ ◇ ◇



当時の私は、まだ5歳の女の子だった。


「ごしごし……ごしごし……」


お昼を過ぎた頃、私はお風呂で体を洗っていた。

長い黒髪をとかし、長い耳、小さな翼、短い尻尾を丁寧に泡立てる。


何故この時間からお風呂に入っていたかというと、ゴブリンのゴブ夫に、「トクトリスは、きたないから、いっしょにあそびたくない」と言われたから。



当時の私は、こう思っていた。


 わたしは、きたなくないよ。

 だって、わたしは「おふろやさん」のむすめだもん。

 ママは「ソープ」ってところでおしごとをしていて、おとこのひとをきれいにあらってあげてるの。




ガチャッ



「ただいま~」


玄関のドアが開いて、ママが帰って来た。


ママは居間のソファーに転がり、酒を飲み始めた。




私はお風呂から上がって、ママに挨拶した。


「ママ、おかえりなさい」


「ただいま、トクトリス。な~にアンタ、またお風呂に入ってたの?」


「ゴブ夫くんにきたないっていわれたから…」


「そんな事気にしないでイイの。どーせゴブ夫君も、将来ウチの店を利用するんだし。その時はトクトリスが相手をシてあげてるかもよ?」


「よくわかんない……」



「あっ、そうだ! 常連客からプレゼント貰ってたんだ! ……えーーっと、…はい、コレ。高級店のチョコレート。トクトリスにあげるね」


「わぁ、ありがとう! ……あ、でも、いいの? おきゃくさんは、ママにたべてほしかったんじゃ…?」


「いいのいいの! 客のプレゼントなんて何入ってるか分かんないし」


「よくわかんないけど…、ママがいらないなら、わたしがもらうね。……そうだ、これをあげれば、みんなわたしと、あそんでくれるかも…!」


「遊びに行くの? 知らない人について行っちゃダメよ?」


「うん! いってきます!」


私はチョコレート抱えて、広場に走った。




 ◇ ◇ ◇ 




広場に着いた。


そこにはゴブ夫と、オークのオク太、エルフのエル美がいた。


ゴブ夫は私に気付き、大声を上げた。


「あ! きたねーしゅぞくのサキュバスがきたぞ! みんなにげろ~~!!」


「ま、まって! わたしはきたなくないよ! さっきまで、おふろにはいってたもん!」


私がそう言うと、エル美は軽蔑の眼差しを向けた。


「お風呂に入ってた? トクトリスちゃん、その年でもう客を取ったの? うげ~、きも~~い!」


「よ…よくわかんないけど…、きょ、きょうはみんなにチョコレートをもってきたの! ね、いっしょにたべよう…!」


「ぶひひ!? チョコレートですと!!」


オク太はヨダレを垂らしながら喜んだ。


手を伸ばし、チョコを受け取ろうとしたオク太を、エル美が止めた。


「待って、オク太君! トクトリスちゃん、そのチョコどうしたの? 自分で買ったの?」


「え…? おきゃくさんにもらったんだけど…」


「やっぱりね! オク太君、食べない方がイイよ! 精子が混入してるから!」


「せーし?」


オク太は顔をキョトンとさせた。


当時の私も、精子が何なのか知らなかった。


「とにかく、私達はママから、トクトリスちゃんとは遊ぶなっ、て言われてるの! 夜職の子なんかと遊ぶなってね!!」


「そうだぜ!! だからおまえとはあそんでやんね───っ!! いこうぜオク太、エル美!」


そう言うと、皆は広場から離れて行った。




◇ ◇ ◇ 




私は泣きながら帰り道を歩いた。



どうして、だれもわたしと、あそんでくれないの?


どうして、だれもわたしと、ともだちになってくれないの?



泣きながら、そんな事を考えていると、何かが私にぶつかった。




…どん!


「きゃっ!!」




私は思わずチョコを落とした。


慌ててその「何か」を見ると、それは奇妙なカタチをしていた。


本当に奇妙なカタチだったから、言葉で言い表すのが難しいのだけど、見たままをそのまま言うと…、




『ツノのはえたUFO』…だった。




頭(屋根?)に1本の大きなツノをはやした、直径50cmほどのUFOが浮いていた。


そのUFOは、私のチョコの上空で停止すると、光の帯を照射し、中に吸い込んだ。


そして、そのまま飛んでいった。


「ま、まって…! それわたしのチョコレートだよ! かえして!」


チョコを奪われた私は、急いでUFOの後を追った。




◇ ◇ ◇ 




UFOは、川沿いの下水道の中へ入っていった。


私も追いかけて中に入った。



下水道の奥に進むと、そこにいたのは、傷だらけの女性だった。


女性は私のチョコを食べていた。


「う……美味い…! 美味過ぎる…! 死ぬ前に、こんな美味いチョコが食べられて良かった……」


女性の種族は人間だった。

シスターの格好をしていたけれど、服はボロボロだった。



「わ…わたしの、チョコレート…」


私は泣いてしまった。



女性は私の泣き声に気付き、話し掛けてきた。


「…あ、ごめんなさい。コレ、貴女のチョコだったのね…。私のユニコーン『空飛ぶ収穫者エイリアン・シップ』が悪い事をしてしまったわね…」


「ぐすっ…。ユニコーン…?」


「重ねて申し訳ないのだけれど、このチョコ、私に全部くれないかしら? 私はもうここを動けないの…。死ぬ前の最後の晩餐に、このチョコを食べたいのよ…」


「わ、わたしが…たすけをよんでくるよ…」


「それはダメよ。私、教団から命を狙われてるもの。私を助けたら、その人まで殺されてしまうわ……。だから、お願い。チョコをちょうだい。今の私に出来る事なら、何でもするから…!」


「な、なんでも…?」


「そう…! 何でもよ…! まあ、出来る事は限られてるでしょうけど…」




私は言った。



いつも、考えていたことを。


いつも、夢にみていたことを。


どんなに願っても、叶わなかったことを。




「ともだちがほしい…」


「友達?」



「わたしといっしょに、あそんでくれるともだち…!! わたしといっしょに、おはなししてくれるともだち…!! わたしとずっと、ずっとずっとずっとずっとずっと!!!! いっしょにいてくれるともだち!!!!!」



私は叫んでいた。


心に溜まっていたウップンが、溢れて止まらなかった。



「……ずっと一緒にいる友達。…私はもうすぐ死んじゃうから、無理ね…」


「うぅ…。グスン…」


女性はしばらく考え込んだ。

考えた後、吹っ切れた顔になり、こう言った。


「……でも、貴女は私の恩人だし…。…いいわ、貴女の願い、叶えてあげる!」


「ほ、ほんとう…?」


「ええ! 貴女はサキュバスだし、どうせ直ぐでしょうから」


そう言うと女性は、1本のツノを取り出した。


「これはユニコーンの角。これを盗んだから、私は教団に追われた。この力をなんかの為に使われるのが嫌で…」


女性はツノの先端を私に向けた。


「ユニコーンは『処女にしか出会えない』。将来貴女が、素敵な殿方に身を捧げるまでの、期間限定だけれども、貴女の願いをユニコーンが叶えるわ」




そう言って女性は、私の下腹部…、ヘソと股の間に、ツノを突き刺した。



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