転生聖女様 目に光が無い女騎士の奴隷にされる

ノツノノ

犠牲の聖女

プロローグ

「危ない!!」


「は?」

(あっ、これ死ぬ…)


とても辛く忙しい人生だった。

企業選びに失敗して、ブラック企業に就職。

私自身、生活の為に辞めるに辞めれない状況で身を削りながら毎日を生きて来た。


もちろん学生の頃は人並みに恋をしたし、友人も居る楽しい日々だったがブラック企業で働いてる期間が長すぎて楽しい思い出など思い出せない。


(てか、歩行者側の信号ちゃんと青じゃん。)


痛みなんて一切感じる事もなく、意識は途切れた。


ーーーーー


(なんで今思い出すかなぁ…)


前世の自分を追体験した。

ただ思い出したというよりは、地獄の様なブラック企業勤務も含めて再度体験した。


「早く取らないと。」


私は果物を取っていた最中に頭をぶつけ気絶し、その間に前世の記憶が蘇ったのだろう。


(それにしても異世界転生か、実際にあるんだぁ…)


私の住んでいる場所は普通の村より大きくて人口も多い。

まぁ、家自体は村の近くの山小屋なんだけどね!


優しい両親と6歳の私、3人で暮らしてる。

毎日忙しいけど、やり甲斐のある忙しさ。ブラック企業みたいに辛くは無い。


「エイラ〜!

ご飯出来たよー!」


「はーい!」


でも思い出せてよかったかも。

平穏に暮らせているし、前世のブラック企業の辛い記憶があると今までつまらなく感じてた生活がとても楽しく感じる。


「今日はエイラの好きなシチューよ。」

「パパは?」

「パパは今着替えてるから先に食べてていいぞー。」


両親ともかなりの美形。

母親は薄い赤色で柔らかい印象を与える美人、父親は銀髪で猟師とは思えないほど体付きだけどめちゃめちゃ強い。


私は母親似の顔と父親似の銀髪を持った美少女。


もう一度言う、美少女。


それは前世なら国のひとつぐらい余裕で取れるほど。


「いただきます!」


記憶を取り戻してからわたしは両親のため、出来るだけ楽をさせてあげようと思った。


前世はそんな事考える余裕もなかった。正直後悔してる、あんなクソ会社なんてさっさと辞めて両親と頻繁に会って…


「エイラ!大丈夫?!」

「え…」


泣いちゃってたのか。


「大丈夫!

自分でも何で泣いてちゃったのか、よく分からない。」

「本当に?無理してない?」


本当は泣いた理由もわかる。

でもそんな事を言っても意味はないし、自分自身で乗り越えなくちゃいけない事。


両親に何も出来ず死んでしまった私だけど、

次こそは


「ママ大好き!」


精一杯、出来る事を…


そう決意してから5年経った。

両親から好きな人は居る?など恋愛に関する話題が増え、それに伴って街で食事しないかと声を掛けられる事も増えた。


この世界の人達は美形が多いから毎回毎回ドキッとするんだよ。


私的には結婚はあまりしたくない、そう思うのは今が十分満たされているっていうのと前世の記憶の影響なのだろう。


ただ、両親から恋愛系の話題が増えるのはやっぱり結婚した方が安心できるからなのかもしれない。


「エイラ〜、お風呂沸かして〜。」

「はーい!」


それと、この5年で異世界の定番である魔法が使えるようになりました!

それもチートみたいな強さの!


「えい!」


ザアアァァァ


本来なら詠唱が必要な魔法を無詠唱で使えたり、私がやりたい事をイメージすれば大抵の事はできる。

無詠唱者はそこそこ居るらしいけど、私みたいにイメージだけで新しい魔法を使える人は居ないって言ってた。


「出来たよー!」

「ありがとう、やっぱりエイラは天才ね。」


天才って言われても全然苦労しないで使えるようになったからかあまり実感がない。


「ねぇエイラ、やっぱり学校に行かない?

あなたの才能はもっと伸ばせる、王都に行けばもっと輝けるわ。」

「うーん…」


恋愛の話し以外に王都の学校に行かないかとも言われている。

ただ、この話は決着が付いてて、


「家が好きだから私は行かない。」


この言葉だけ聞くと引き篭りみたいに聞こえるかもだけど、私が離れたくないのは両親。


「もう!うちのエイラが可愛い!」


不安な事はあるけど、両親が居て毎日が楽しい、そんな平和な日々がこれからも続くと思ってた。


あの日は雪が降る、とても寒い日だった。


「パパ、ママ…」


朝起きたら2人がベットで冷たくなってた。

声をかけても起きない。


どうして?!?!


部屋の温度を上げる魔道具は動いているし、そもそも凍死なら私だけ生きているのはおかしい。


盗賊?

いや、それなら父親は負けない。

争った跡もない。


なんで?!なんで?!なんで?!なんで?!

なんで?!なんで?!なんで?!なんで?!

なんで?!なんで?!なんで?!なんで?!


何があったんだ?!

昨日までは元気だったはず…


「そうだ、魔法…」


イメージするのは動いている2人。

初めて魔法を教えてもらった時と同じように両手に血液魔力を集める事を意識する。


「お願い!動いて!!」


今思えば、このイメージがいけなかったのかも知れない。


『『……』』

「あっ…」


確かに動いた。

でも、それは…


「なんで…」

『『……』』


私を抱きしめている2人は、


「きえ、消えちゃう…」


半透明で、私の目の前にはベットで眠る2人が居て…


『『ーーーーー愛してる』』


それから私が何をしていたか詳しくは覚えていない。


聞いた話では、街で仲良くなった友達が最近現れない私を心配し、家に来て放心状態の私を見つけてくれたらしい。

その後、教会できちんと弔って一緒に暮らすか?って言われたけど、最終的には1人で山小屋に暮らすことになった。


適当に暮らすこと少し、夜に星を眺めて過ごしていると泣けたのだ。

キッカケはわからないけど、大声で泣いた。


泣いて泣き続けて、やっと気持ちに整理がついた。元通りとは行かないけど、会話もできるようになって少しずつ前を向けた。


「明日は一緒にお昼食べよう!」

「わかった。」


今では友達と一緒にご飯を食べる約束をかなりの高頻度でしてる。


「あ、明日調味料を持ってくる商人が来るらしいよ?」ボソ

「本当?ありがとう。」


前の世界と違ってこっちは調味料が高い。

安い時は多めに買う為にも、早めに並ぶのが必須といっても過言ではない。


「じゃあエイラまた明日ね。」

「うん、また明日。」



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こんにちはノツノノです。

新作『奴隷にされた聖女』(いい略し方が思いつかなかった)

作者の好きな要素を大量に盛り込んだスペシャルパックです。


女騎士が出る所まで1時間おきに更新、

その後は完全に不定期で更新。

一応完結までは既に考えてあるので書け次第更新していきます。


フォロー、気軽にしてくれると嬉しいです

応援と星★も是非よろしくお願いします。



ー関係ない話ー

プロローグが駆け足なのは監禁する所まで早く行きたいからです。

監禁するまで駆け足になります


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