第2話
あなたがいるということを、忘れることはない。あなたのことを考えるためのからだの器官が、常に動いているような感じ。それは基本的に、左の頬。
ほおづえをついて眠るとき、必ず左頬だからなんだと、最近気付いた。眠っているとき、あなたがふれていると思っていたのは、わたしの左手。
ひとりの部屋。他には誰もいない。生まれたときから、そう。最低限のものしかない。
鏡。化粧品。充電プラグがたくさん。携帯端末がいくつか。枕。ぬいぐるみ。雑誌。棚。バックライト。自撮り棒。
たくさんあるわ。ごめん。最低限からほどとおいね。ごめんなさい。
分かっている。
わたしは、ひとりでここにいる。ずっとひとり。
だから、わたしにはあなたがいる。そういう、やつ。
目についた雑誌。右手で取って、ぱらぱらとめくる。左手ほおづえ。
恋人特集。この季節、絶対にゲットしたい彼。ライバルに勝つコーデ。
あなたには。わたしは。ゲットできるだろうか。
とりあえず、雑誌を投げ飛ばして。また、眠る。あなたの、もとへ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます