夢魔の使い魔は犯罪者の夢がお好き
アイリス
売れない探偵と使い魔
第1話
犯罪都市と呼ばれるハルフェリス国。魔法使いによる犯罪が多発していた。魔法使いに殺された両親の復讐のために、探偵をやっているイグリスは犯人を追い詰められない無能な探偵として有名だった。遂に決心した。使い魔を呼ぶ事を。推理が出来るなんて期待はしていない。ただ、相談にのってもらえるパートナーを探していた。それだけだ。使い魔召喚は今流行っている。流行りにのるのが嫌で召喚していなかった。
「最後の賭けだから」
図書館で使い魔召喚の本を手に取り召喚陣を描いた。魔力を注ぎ込んで、現れたのは奇妙な男だった。
「美しい。素晴らしい。ああ。実に幸運。
エルフ特有の尖った耳。
長髪の赤い髪。狼の耳と尻尾。
わたしの美学にぴったり嵌る」
「君は誰だ。俺の使い魔」
「使い魔と仰いましたが、わたしは悪魔です」
俺が使った床に落ちていた使い魔召喚の本を、自称悪魔が拾った。
「これは、使い魔召喚の本ではありませんよ。
悪魔召喚の為の珍しい本です。
悪魔に命令を下せる。
召喚した悪魔が主人を気に入ればですがね」
自称悪魔が本をイグリスに差し出した。本当に悪魔召喚の本と書かれていた。本を取った棚に引き返す。その隣に使い魔召喚の本があった。取り違えてしまったようだ。自称悪魔を残して図書館司書に本を見せた。
「何故こんな本を図書館に置いている」
「お客様。おっしゃっている意味が分かりません。何もありませんよ」
紫色をした金色の文字でタイトルの書かれた本が見えない。司書は本当に見えていないようで、困惑した様子で俺を見ている。いつの間にか側に来ていた自称悪魔が、恐怖と寒気を感じる完璧な作り笑いで、場所を移しましょうかと言った。
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