第136話 ダンジョン49階 ボス
49階ボス部屋に到着――。
49階のボスであるミノタウロスは巨大なフィジカルを生かして、正面から物理で殴って来るタイプの魔物だ。
ヘタに小細工を仕掛けてもパワーで押し切られてしまうだろう。
我々は今できるバフ、デバフを全て使って総攻撃をかけるのみ。
ガレフに言ってプロテクトをかけ直して貰い、アイアンゴーレムとレッサーデーモンを召喚。
行くぞ!
ボス部屋へと入ると、中はただ広いだけの殺風景な部屋。まだ遠くに大きな斧を持った真っ赤な牛のミノタウロスが見える。
まだ距離があると思うが、離れていても解る巨大さ。モモちゃんよりも一回りほど大きいのではないだろうか?
ゆっくりと観察している暇はなさそうだ。
すでにミノタウロスはこちらに気が付き、斧を両手で持って突進してきている。
こちらもモモちゃんを先頭にアイアンゴーレムとレッサーデーモンに突撃の指示。ユウは先走らない様にまだ俺の手元に置いておく。
まだ距離があるはずなのに地面の石畳が細かく震えて、地面が揺れている様に感じる。凄い勢いだ。
まずはミノタウロスの突進の勢いを弱めたい。
ガレフと陛下に声を掛けて、ミノタウロスの足元にマッドスワンプ、ソーンウィップの魔法を放つ――。
あわよくば沼に足を滑らせて転んでくれないかと思ったが、軽いジャンプで躱されてしまった。
ソーンウィップは足に絡んだが、ミノタウロスは気にした様子もなく、こちらに向かって走り続けてくる――。
そろそろ俺の射程圏内となる。俺が弓を射るとミノタウロスは斧を顔の前に構え、その斧を盾にして突っ込んでくる。ユウもエアスラッシュを放つが斧を盾に防がれてしまった。
出来れば眼球など顔のパーツを狙いたかったが、仕方がなく斧がない下半身を狙う。
ガレフもアイアンバレットに魔法を切り替え、俺と2人でミノタウロスの足を狙って攻撃――。
矢が刺さり、ガレフのアイアンバレットがミノタウロスの足にめり込む。それでも走る勢いは落ちない。
陛下のダークミスト――。
一瞬、ミノタウロスの顔を黒い霧が覆うが、そのまま走り抜けて霧を突破された…………。
まったく勢いが落ちないままにミノタウロスとモモちゃんが衝突する。ミノタウロスの巨大な斧がモモちゃんの盾を叩いた。
*ガッキーーン!!*
思わず耳をふさぎたくなる様な、金属同士が激しくぶつかる音が鳴り響く。
俺はあまりに強いミノタウロスの勢いに突破されないか不安になったが、モモちゃんはミノタウロスをしっかりと受け止めて、足止めに成功したようだ。
俺は早く攻撃したくてうずうずしているユウを解き放ち、陛下にも近づいて攻撃に参加するように促す。
俺とガレフは弓とアイアンバレットでの攻撃を続ける――。
ミノタウロスはタフだ…………。
俺とガレフの攻撃だけでは倒れる様子がない。モモちゃんはミノタウロスの攻撃を受け止めるので精一杯の様だ。
しかし、これから俺たちの総攻撃がはじまる。
陛下がミノタウロスに近寄りながらウィークネスの呪文をかける。ミノタウロスの動きが鈍った。
ユウがミノタウロスに切りかかる。深い切り傷は負わせたが、まだまだミノタウロスはひるむ様子がない。相変わらずモモちゃんに斧を叩きつけている。
ミノタウロスに近づいた陛下がヴェノムバグを唱えた――。
陛下の手より大量の毒バエが飛び立ち、ミノタウロスの顔を覆う。
効果は抜群だ! ミノタウロスはハエを追い払おうと斧を振り回し、スキを見せた。
防戦一方で耐えていたモモちゃんのメイスが、スキを見逃さずにミノタウロスを叩く。衝撃でバランスを崩したミノタウロスに全員が襲い掛かった。
レッサーデーモンのシャドーボールが炸裂。陛下のブラッドソードが切り裂き、アイアンゴーレムの体当たり。俺とガレフの遠距離攻撃に、ユウの剣が全身を切り刻む――。
タフなミノタウロスもだんだん動きが鈍くなり――。
やがて動かなくなった…………。
「言ったであろう。囲ってしまえば、こんなものだ」
フルプレートで顔など見えないはずなのに、陛下のドヤ顔が凄い!
「うーむ、ワシの土魔法はあまり効かなかった様じゃ…………」
ガレフはちょっと悔しそうだ。
確かに陛下の魔法はミノタウロスに効果的であったが、この勝利はみんなの勝利であろう。そもそもモモちゃんがミノタウロスの突進を受け止められなかったら、どうなっていた事か…………。考えるだけで恐ろしい。
「いやあ、みんな凄かったな。ミノタウロスも恐ろしかったぜ。ツノを取らないといけないんだけど、もう動かないよな?」
カレンが毒針でミノタウロスの死体をツンツンしている…………。
もし生きていても、今ので死んだな。
「ミノタウロスのツノはモモちゃんに任せて、カレンは宝箱を開けて来てくれ。俺は弓が欲しいぞ」
「そういえば、院長は前回の宝箱でもそんな事言ってたな。でも弓は買ったばかりだから、まだ良いんじゃないか?」
「いやいや、そうは言っても他のメンバーに比べると俺の攻撃力はまだ足りてないんだ。この先に進むなら俺の火力UPは必須条件だ。カレン頼んだぞ」
「俺に頼まれてもなあ。でもそろそろ院長が欲しいものが出て来そうな予感はするぜ。幸運な院長のパーティーなのに院長の武器はまだ出てないもんな」
「だろ? カレンもそう思うだろう。さあ早く開けてくれ」
キタ! この流れは間違いない! これはSSR確定演出のはずだ。
頼んだぞーーー!
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