第97話 ダンジョン40階
今日はダンジョン40階ボス戦となるだろう。昨夜、ステータスチェックをおこない。我がパーティーの戦力はかなり増強されたと思う。
今朝、ガレフからの報告でマッドスワンプの魔法とプロテクトの魔法を習得したと教えて貰った。プロテクトはパーティー初のバフスキル。物理防御が詠唱者のレベルに合わせて上昇すると言う地味ながら、重要な魔法だ。
効果時間もレベルで長くなるそうなので、ガレフのレベルが上がれば上がるほど使い勝手がよくなり、今後長く使える魔法となるだろう。
ダンジョン40階に到着後にさっそくプロテクトの魔法を掛けて貰う――。
ガレフが『プロテクト』と呟き、杖を振るとパーティーメンバー全員が薄っすらと発光する。プロテクト効果中かどうかが一目で解るのでこれは助かる。ガレフにダンジョン探索中は効果を切らさないように頼んでおいた。
次にマッドスワンプも見せて貰う。ガレフが『マッドスワンプ』と呟くと前方の地面に泥の沼地が現れた。
モモちゃんに沼地を踏んでみてもらったが、泥の深さはそれほどなく、少々歩きにくいという程度であった。
これはダンジョン内でも使えるようなので良かった。数分経つとキレイになくなったので、ダンジョン内の地形に影響を与える訳ではなく、単純に大量の泥が数分出現したという事なのであろう。
陛下の魔法も試してみたいが、どれも攻撃魔法のようだったので、先に魔物を探す事にする――。
ウッドゴーレムとデビルヘッジホッグがそれぞれ3体ずつの敵集団と遭遇した。
ガレフが『マッドスワンプ』を唱える。敵の足元に沼地が現れて、魔物の移動速度が低下した。
「陛下、新しく覚えた。闇魔法をお願いします」
「うむ、この距離だとヴェノムバグだな。他の魔法は射程外だ」
陛下が手を前に出し『ヴェノムバグ』と呟くと、大きめのハエが陛下の手より何十匹も現れて敵に向かって飛んでいく。
正直、気持ちが悪い。ハエが大きいので顔まで見えてしまった。数も多いので羽音も五月蠅い。
ハエたちは魔物に襲い掛かり、顔の辺りで飛び回っている。ウッドゴーレムはハエを気にせずこちらに向かって歩いて来ているが、デビルヘッジホッグはハエを嫌がり顔を小さな手で隠している。
デビルヘッジホッグは本当にカワイイ。あんなに愛くるしい、ハリネズミちゃんを毒バエで虐める陛下は極悪だと思う。
しかし、ハエを嫌がり足を止めたデビルヘッジホッグを俺は弓で撃つ。
ダンジョン内で情けは無用だ。油断したものから死んでいくのがダンジョンの掟、あのデビルヘッジホッグの可愛さも武器なのだろう――。
マッドスワンプとヴェノムバグのお陰で動きが止まったデビルヘッジホッグはいい的だ。弓スキルのレベルを上げた影響もあると思うが、俺は以前よりも楽々とデビルヘッジホッグを殲滅する事ができた。
しかし、ヴェノムバグは非常に不快な魔法だと思う。あの不潔そうな毒バエが顔に纏わりついてくると考えるだけで鳥肌がたつ。俺だったら絶対に食らいたくないので、対人では絶大な効果があるのではないだろうか? ウッドゴーレムには効果なしであったが、対生物では効果的な気がする。
などと考えているうちに、ウッドゴーレムが沼地を抜けてこちらに近づいてきた。
陛下が一歩前に出て『ダークミスト』と呟くと手から黒い霧が噴き出して、ウッドゴーレムの顔は黒い霧に包まれる。
が、ウッドゴーレムは気にするそぶりも見せずに、こちらに向かって歩いてきている。
『ソーンウィップ』
続けて、陛下が魔法を詠唱して手をかざすと棘(トゲの付いた植物の茎)が何本も勢いよくウッドゴーレムに襲い掛かった。
ウッドゴーレムの体に巻きついた棘がウッドゴーレムの動きを止めようとするが、ウッドゴーレムはブチブチと棘を引きちぎり歩み続ける。
どちらの魔法もウッドゴーレムにはあまり効果が無かったようだ。
魔法の試し撃ちも終わったので、全員でウッドゴーレムを倒すことにする。ユウにも倒してよいと合図をすると、猛然とウッドゴーレムにユウが襲い掛かった。
剣聖となったユウの剣が冴えわたり、次々とウッドゴーレムの首を刎ねて戦闘終了。
ユウは疾風剣という技を覚えたはずだが、今の戦いで使ったのだろうか? それらしき動きはなかったので、おそらく使ってないと思うが、早く見てみたいものだ――。
「余の闇魔法はウッドゴーレムには効かなかったようだな。本来ならダークミストで視界不良になるはずであったが、それすらも無効であったように思う」
陛下のダークミストの効果は視界不良のデバフを与える事だったらしい。ソーンウィップは行動阻害のデバフだろうか、どちらもウッドゴーレムには効果が薄かった。
「デビルヘッジホッグには効きそうですけどね」
デバフは無機物な敵には効果が薄く、生物系の魔物に良く効くような気がする。まあ今後、陛下の闇魔法が効きそうな相手が居たら、試してみればよいだろう。
一通り気になった事は試せたので、戦闘をこなしながら先へと進む。補助魔法の効果は有用で、戦闘がスピーディーかつ安全になったと思う。
それと予想通りデビルヘッジホッグには闇魔法のデバフは効果アリの様であった――。
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