第64話 ダンジョン 22階
22階もサクサクと探索は進む。
若干、スケルトンの数は増えている気がするが、探索スピードが落ちるほどではない。
23、24階と進み休憩を取った後に25階へと進む――。
25階からはスケルトンが丸盾と曲刀を持って現れた。ギルドで調べた記憶では武器持ちはスケルトンウォーリアと書かれていたと思う。
スケルトンウォーリアはスケルトンに比べて動きが良くなっている様だが、ブタちゃんはあまり気にしていない。
ブタちゃんは相手の盾の上からでもメイスでガンガン叩く。スケルトンはバランスを崩し、粗末な盾はすぐに壊れて、さらに次の一撃で頭蓋骨を砕いてしまった。
それに比べてユウは少し手こずる様になってきた。盾で防がれる分、時間が掛かっている。それでも相手の曲刀に切りつけられる事もなく、うまく戦いを進めている――。
そうしている内に自分の魔物を倒し終えたブタちゃんが、ユウと対峙しているスケルトンに背後から一撃を加えて戦闘終了となった。
「院長、今度の魔石の方がでかいぜ」
ケインが頭を砕かれたスケルトンから魔石を拾ってきてくれた。確かにひとまわり大きい。どうやら強い魔物程、大きい魔石を落とすという事らしい。スケルトンウォーリアは銀貨7枚と書いてあったので、この大きさの魔石は銀貨7枚の価値があるという事になる。
しかしスケルトンウォーリアはともかく普通のスケルトンはだいぶ弱そうに見えた。あれで銀貨5枚は獲物として美味しいと思うのだが、他の冒険者が見当たらないのは何故だろうか?
とは言っても俺一人では倒せそうにないので、それなりの強さなのかもしれない。きっとブタちゃんが強すぎるのだろう。
などと、のんびり考え事ができるほど暇だ。相変わらずだが特に21階を過ぎてから俺はやる事がない。パーティーの一番後ろをバックアタックされないように警戒しながら歩いている、という事になっているがスケルトンは動きが遅い。奇襲されることなどあるのだろうか――。
一番後ろをブラブラ歩いているとケインは十字路を右に曲がった。最後尾を付いて行き、警戒のために後ろを振り向くと少し離れた所に何かが落ちている。右に曲がって後ろを振り向いたので十字路を左に曲がった方の通路だ。あのアイテムにケインは気が付かなかったのだろうか?
まあ近いし俺がサッと走って取ってこよう。何が落ちているのだろうか? 走って近づくと見えてきた。何やら布のようだが…………。
『ガタッ』 音がして地面が揺れる。走っていた俺の足は地面を踏むことができずに空をきる。
何が起きた? と思った瞬間、俺は暗闇に落ちていく。ダンジョンの床がない!
これはピットフォール、落とし穴だ…………。
『ドンッ』 俺は地面に叩きつけられた。背中を強く打って声が出ないが、なんとか起き上がる事はできそうだ。
慌てて天井を見ると、すでに半分以上閉まっている。何やらブタちゃんの声が聞こえたような気がしたが、俺が助けを呼ぶ暇もなく天井は閉じてしまった…………。
これはやっちまったな…………。
しばらく天井をみているが、もう一度開く気配はない。好き勝手に開け閉めできる構造ではないのかもしれない。開くのであればブタちゃん辺りは俺を助けにすぐさま落ちてくるはずだ。
ガレフもダンジョンの壁は壊せない。ダンジョン内ではピットフォールの魔法も使えないだろう。そもそもダンジョンの壁がどうにか出来たなら彼は奴隷になっていないはずだ。
どうもすぐさま助けが来ると言うことはなさそうなので、辺りを見渡して見ると骨が散らばった小部屋にいる。ちゃんと出口があるので、この落とし穴から出る事ができずに死んだ人たちの骨という事ではなさそうだ。
俺もマップを写しておけば良かったか? そうすれば罠に掛かる事もなかったかもしれない。例えはぐれたとしてもゲートまで自分でたどり着けただろう。いや、ケインに着いて行かなかったのがまずかった。ダンジョン内に罠があるのは解っていたはずなのに、アイテムに目がくらみケインが歩いていない道を歩いてしまった。せめて一声ケインに声を掛けてからアイテムを拾いに行けばよかった。
そもそもアレはアイテムだったのか? 只の布切れだったかもしれない。
非常にマズイ事になった…………。
と一瞬思ったが良く考えてみればケインは道を知っているし、この場所も解るだろう。
向こうのパーティーは俺が居なくてもサクサク進めるから、俺はここで待っていれば問題ない。そのうち助けに来てくれるはずだ――。
『カタカタ』 一斉に周りに散らばった骨が動き出す。骨は集まり徐々に起き上がり、スケルトンへと変貌する。
俺は急いで小部屋から逃げ出さなくてはならない。この狭い部屋に5体ほどのスケルトンが起き上がっていた。そのうちの1体にでも入り口を塞がれたら、終わりだろう。
俺はなんとか小部屋を飛び出して闇雲に逃げる。当然、道など解らないがスケルトンの集団から距離を取らなければならない。
しばらく走ると前方に1体のスケルトンウォーリアが見える。この道はダメだ…………。
急いで道を戻り、スケルトンの居ない違う道を探す。
ヤバイ…………。最初から道は解っていないが、方向感覚すら怪しくなってきた。なるべく最初の小部屋から離れない方がいいのに、あの小部屋が何処にあるのかもう解らない。
スケルトン達は足が遅いので走れば逃げる事は出来るが、狭い通路で挟まれたら終わりだと思う。
しかしこのまま逃げ回っていれば、いつかは追い詰められそうだが…………。
また今走っている道の先にスケルトンが見える。普通のスケルトンが何故か1体だけいるようだ。はぐれたのだろうか?
これは攻撃を試してみてもいいのかもしれない。
弓はスケルトンと相性が悪そうであったが、急所にクリティカルヒットすれば倒せるかもしれないと思う。問題はどこが急所かという事だが…………。
上から順番に目の空洞の部分、頸椎、腰椎を狙って矢を続けて放つ――。
見事に3本とも命中! 狙い通りにスケルトンに矢は刺さっているが、スケルトンは倒れる事もなく、矢が刺さったままこちらに向かって歩いてくる――。
ダメか……。 弓でスケルトンは倒せそうにないので、また走ってスケルトンから距離を取る。
どうするべきか…………。
名前:タイラ マコト
種族:人間 性別:男
職業:奴隷使い
レベル:26
スキル:弓術上級2、潜伏2、奴隷強化5
《習得してないスキル》採取、木工、斧術、トレッキング、細工、陶工、料理、物理抵抗、毒抵抗
スキルポイント7
今自分に何ができるか考えよう――――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます