第63話 ダンジョン 21階
唐揚げパーティーの翌日は朝からダンジョンに向かう。今日は21階に進みスケルトンと戦ってみたいと思う。
ケインの先導でダンジョン内を進むが、身隠しのマントを身に包んだケインは以前よりも大胆にダンジョン内を進んでいる様に見える。ケイン自身が安全というだけではなくパーティーの探索スピードも上がると言うメリットが身隠しのマントにはあったようだ。
しかし21階からは以前よりもダンジョン内が薄暗い様に感じる。そして何となく空気が冷たい気が…………。
アンデッドは闇属性だったり冷気属性だったりするのだろうか? ギルドの書物にはそのような記載はなかったと思うのだが…………。なんだか背筋が寒い。
「居たぞ」 先行していたケインがこちらに振り向き、合図を送ってきた。
ゆっくりと前に進むとケインは少し広くなった小部屋を覗き込んでいる。俺たちもケインが指さす方を覗きこむと、確かに居る。
骸骨がカタカタと動いているのは何とも不思議な光景だ。スケルトンは3体ほどいるが全員武器を持っていない。何かしら手に持っているものかと思っていたが、何も持っていないようだ。スケルトンには何種類かいるらしいので、彼らは一番弱いスケルトンなのだろう。
ブタちゃんのメイスを新調したので鉄のメイスの威力も見てみたいが、楽しみにしていた魔法を撃って貰おう。
「ガレフ、ここからストーンバレットを撃てる?」
「そういうと思っていたぞ。ここからなら余裕じゃな」 ガレフは新しく買った杖を揺らしながら自信たっぷりに頷いた。
「じゃあ、よろしく」 俺は横にどいて、ガレフに前を譲る。
「ストーンバレット」 ガレフが小声でつぶやき、杖の先端を前に倒す。すると杖の先からソフトボール大の石のようなものが飛んで行き一体のスケルトンの胸にぶち当たった。
一番近くにいたスケルトンの背骨を砕いたらしく、崩れ落ちたスケルトンは起き上がってこない。残りの2体のスケルトンは仲間を一撃で倒された事に動揺することもなく、こちらにカタカタと向かって来る。
「おお、一撃で倒した。なかなか魔法の威力は凄いね」 「カッコイイぜ!」 俺もケインも興奮が隠せない。
「スケルトンとやらは、あまり強くないみたいじゃな」 ガレフは鼻を左右に揺らして機嫌が良さそうだ。
「残りはブタちゃんとユウで倒してきてよ」 まだ先は長いのでガレフの魔法は節約しておく。ガンガンいかない。
ガレフが言う通りスケルトンはあんまり強そうに見えない。動きも鈍いし攻撃力も低そうだ。俺も試しに矢を放ってみる――。
肋骨の間を矢がすり抜けてしまった…………。頭に当てた方がいいのか? 頭を狙って2本目を撃つ――。
見事命中。頭に矢が突き刺さったが、特に何の反応もなくスケルトンは動き続けている。矢は効果がないのか?
俺が少々落ち込んでいると、ブタちゃんとユウがスケルトンに襲い掛かる。ブタちゃんのメイスは――。
こうかはばつぐんだ! 一撃で右肩から骨盤まで粉砕したようだ。起き上がってくる気配はない。
ユウは襲い掛かってきたスケルトンの右手、左腕、首と切断したが、スケルトンはまだ倒れずにユウに歩み寄ってきている。脊椎と両足を切断してようやく倒したようだ。
「全部、倒せたかな? ギルドの本には魔石を取り出すには頭を砕くようにと書いてあったけど」 俺は倒れたスケルトンに近づいて良く見てみる。
スケルトンはもう起き上がる事は出来ないようだが、まだ何やらカタカタと動いていた。
「ブタちゃん、全部のスケルトンの頭をメイスで砕いてみて」 ブタちゃんが無言でスケルトンの頭蓋骨を砕く。
『バキャ』 っと小気味よい音が鳴り、頭蓋骨が割れると砕けた頭蓋骨の破片の中にキラリと光る青い石が見つかった。
「これが魔石かな?」 「ご主人様、こちらからも出てきましたよ」 俺が魔石をつまんで眺めているとブタちゃんが残りの2つを持ってきてくれた。
「魔石は魔法の触媒として色々な事に使えるんじゃ」
「ガレフは魔石を使えるの?」
ガレフが使えるなら全部は売らないで、ある程度取っておかなくてはならない。何に使えるのかは解らないが……。
「土魔法で魔石を使う魔法も何個かあるみたいじゃが、ワシはまだ使えんな」
それなら今は全部売ってしまっていいか、そのうちガレフもレベルが上がって魔石を使える様になるのだろうけど、そうなったらまた取ればいい。今はお金がほしい。
スケルトンは大して強くないようなのでブタちゃんとケインを先頭にドンドン進んでいく。
スケルトンが居たらケインは後ろに下がり、ブタちゃんが前に出て粉砕する。数が多ければユウも前に出る。俺とガレフは後ろから付いて行く。
ケインはたまに罠があるから気を付けろと罠の場所も教えてくれるので、罠に注意する必要もないし、魔物にもあまり警戒する必要がないのでサクサク進む。
この探索スピードは今までで一番早いのではないだろうか?
あっという間に22階へと続く階段に到着したようだ――。
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