第36話 奴隷2人目 3
ダンジョンを出るとブタちゃんがお腹を鳴らす。
*グー!*
もうそんな時間か? 空を仰ぎ太陽を見るとちょうどお昼の様だ。今日の昼飯は屋台の串焼きだな。10本ほど買って皆で分けて食べる。
ブタちゃんは両手が串焼きで塞がってご満悦だ。ユウにも串焼きを渡したが食べようとしない。
「ユウ、これが今日の昼飯だ。食べなさい」
口元に持っていくと食べだしたので肉が嫌いと言う訳ではなさそうだ。
命令しないと食べないのかな……。これはお世話も苦労しそうだ。
3人で孤児院へと帰る途中でユウのステータスを確認してみる。
名前:ユウ
種族:人間 性別:女
職業:勇者(奴隷)
レベル:15
スキル:精神攻撃遮断3、痛覚遮断3、物理抵抗4、炎抵抗2、飢餓抵抗3、毒抵抗2
《習得してないスキル》エアスラッシュ 剣術
スキルポイント 12
思った通り、習得していないスキルに剣術が増えている。先ほどの戦闘では剣をめちゃくちゃに振り回しているだけだったが、あれで剣術スキルを覚えたようだ。
おそらく初めて剣を持ったのだろう。何故かスキルポイントがやたらと余っているので剣術とエアスラッシュのスキルを習得して置く。
名前:ユウ
種族:人間 性別:女
職業:勇者(奴隷)
レベル:15
スキル:精神攻撃遮断3、痛覚遮断3、物理抵抗4、炎抵抗2、飢餓抵抗3、毒抵抗2、エアスラッシュ1、剣術5
スキルポイント 6
剣術を10まで上げてみたいが、何があるか解らないので一応5までにしておく。剣術5でもさっきの剣を振り回すだけの動きとは変わるだろう。
それとエアスラッシュ。このタイプのスキルは初めて見たが、どんな感じのスキルだろうか?
いきなりユウが『エアスラッシュ!』とか叫びだしたらどうしよう?
明日が楽しみだ――。
孤児院に戻ると子供たちがバタバタと掃除をしている。ケインが今日は皆で大掃除をすることにしたようだ。
「ケイン戻ったよ。良い仲間も見つかった」
「おかえり、マコト兄ちゃん。新しい仲間ってそいつか? あんまり強そうじゃないけど戦えるのか?」
ケインがユウをジロジロ見ている。まともに戦えるのか怪しんでいるようだ。他の子供たちも集まってきた。みんなユウに興味津々のようだ。
「こう見えて強いんだけどな、ただ問題が色々ある。とりあえずトイレに連れていこう。奴隷商館を出てからだいぶ時間が経っているし、漏らすかもしれない」
「なんだ? 漏らすってこの姉ちゃんは大人だろう?」
「見た目は大人なんだが、中身は子供? みたいな感じで彼女には赤ちゃん並みのお世話が必要なんだ」
「なんでそんな奴隷を買ってきたんだよ…………」
「手間はかかるが、こいつは凄く強くなるからな。戦力増強は間違いなしだ」
「そうなのか? なんでそうなるのか解らないが……。 とりあえずトイレには俺が連れて行ってやるよ。ほら、こっちだぞ」
何故かケインの言う事は聞くようだ。ブタちゃんの言う事は聞かないのに……。
まあ俺の言う事しか聞かないとかだと面倒が増えるだけだから良かった。他の子供たちもみんなユウのトイレに付いて行ってしまったようだ。トイレが出来ない大人なんて珍しいからね。しょうがないね。
「最初はブタちゃんにユウのお世話を頼もうかと思ってたんだけど、子供たちがお世話してくれそうだね」
「私もそう思っていたのですが、ユウさんは私の言う事は聞いてくれないみたいなので、しょうがないです……」
きっと後輩のお世話をしなくちゃとブタちゃんは張り切っていたのだろうが、上手くいかずしょんぼりしている。
「まあ戦闘中はブタちゃんがユウの面倒は見れないし、ケインが面倒を見た方が役割分担できてちょうど良かったよ」
ケインとユウが子供たちを引き連れて戻ってきた。
「こいつ布オムツまでして本当に赤ちゃんじゃねえか。まあガキの面倒はここで慣れたものだから俺に任せてくれて良いぜ」
これは助かるな。そういえばケインに名前をまだ教えてなかったか。
「そうだ紹介してなかったな。彼女の名前はユウだ」
「そしてユウ。彼はケインだ。ケインはユウの面倒見てくれるそうだから、ケインの言う事聞けよ」
「…………」 返事はないが大丈夫だろう。
「それじゃあ、掃除の続きをするぜ。ユウも手伝えよな」
ユウに掃除なんて出来るのだろうか? しかしケインの後をフラフラとユウは付いて行ってしまった。もうユウの事はケインに任せておこう。
「俺たちも自分たちの部屋の掃除をしようかね。ブタちゃんも手伝ってよ」
「はい! 掃除しましょう。頑張ります」
俺たちの使っている部屋は今まで空き部屋だったらしく結構汚い。さすがに床の埃位はすでに掃除してあったが、まだ床や壁などは汚れが目立つ。
「じゃあ雑巾掛けしようか」 「はい!」
今日の午後は大掃除で終わった――――。
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