目の前で起こることが現実とは思えない?
竹下育美の振り下ろす斧が桜舞へ当たる直前。入り口にあったメリーと呼ばれるビスクドールが防いでいた。
「ヒィー。この悪魔。そこを退きなさいよ」
「竹下さん、思いとどまってくれて、嬉しいわ」
「ふざけんな。このアマ。見えねえのかよ。テメェの人形が目の前にいんだろうが」
「えっ?メリーちゃんがここに?どこに?」
「はっ?惚けてんじゃねぇぞ。このアマ。目を見開けや」
確かに入り口にいたビスクドールのメリーと呼ばれる人形だ。でもここに来る時、ショーケースの中に鎮座しているのを見た。誰も鍵を開けていないはずなのに、どうしてここに。それに女将の桜舞には見えていないみたいだ。なら普通の人には見えないということね。私には、はっきり見えている。首なしライダー事件の時もそうだった。思えば、有名な蛇神を祀る神社の巫女として生まれた私には、昔から霊力が備わっていた。でも、怖がりの性格で、遭遇したらビビって、漏らしちゃう子だった。今も治ってないけど。でも夢の中で一度遭遇しているからだろうか?耐性が付いたのか?今はおどろおどろしさを感じないからか?考えていても仕方ない。今は様子を見よう。
「オマエ、ツギコロス。ハリネズミ」
「ふざけんな。どうして私がこんな目に」
「シゴウジトク」
「はっ全部木下と山里がやったんだろうが」
「アヤツッテタノハ、オマエ。オレ、スベテ、シッテル」
「そんな証拠ねぇだろうか」
「何を言ってるの竹下さん?」
「ウッセェ黙ってろクソアマ。アタイは今目の前のメリーと話してんだろうが。見てわかんねぇのかよ」
「竹下さん、一体どうしたと言うの?正気に戻って、ここにメリーちゃんは居ないわ」
「ママ、イジメルヤツ、ミナゴロシ。アノ、ケイジノ、オカゲデ、イチバンワルイヤツモ、ミツケタ。パパ、ママノココロ、キズツケタ。オレ、ユルサナイ」
「お前何言ってんだ。ママとかパパとかわけわかんねぇこと言ってんじゃねぇよ」
「オマエハ、ツギノクモツ。ハリネズミ。タノシミニシテイロ」
「ざけんなぁ」
何度も女将の桜舞へと斧を振り下ろす竹下育美だがその斧が桜舞へと当たることは無かった。やがて、駆けつけて来た林田勲に羽交締めされ、離される。
「おい、ジジイ離せや。このビスクドールを叩き割ってやんだよ」
「人殺しを黙認しろと言うのですか?そんなことできるわけないでしょう」
「人殺しじゃねぇ。人形を壊すだけだつってんだろうがよ」
今まで木下散梨花と山里愛子に隠れて、わからなかったがメリーの言葉が正しいなら3人の中で、ハリネズミという身体中に棘を刺すという惨たらしい殺し方をすると宣言するほどだ。恐らく竹下育美が裏で木下散梨花と山里愛子を動かしていた?だがあの2人もどう見てもヤンキー気質だ。どちらかというと優等生に見える竹下育美がどうしてあの2人に付き従っているのか?そっちのが疑問だった。竹下育美が裏で操っていた?だとしたらあの2人の弱みを握っていたってこと。なのに普段は2人の方にいじめられっ子のように付き従う姿を見せていた?とんだ食わせ者ってわけね。それにあの豹変ぶり。優等生の皮を被ったクソ女なのかしらね。
「女将を人形と言ってるのですかな」
「離せ離せよジジイ。目の前を見ろよ。そこに入り口にあるクソ人形がいるだろうが。はっ。アイツどこ行ったんだよ。女将、テメェ、どこに隠しやがった」
「だからメリーちゃんのショーケースの鍵はここにあるんです。勝手に抜け出せるわけないでしょう。本当にどうしたの竹下さん?木下さんと山里さんのことは残念だけど」
「テメェがあの人形に命じて殺させたんだろうが。ぜってぇあの人形もお前も地獄に送ってやるからな」
「竹下、勤務態度も問題のなかったお前がどうして、こんな強硬手段を取ったのだ?残念でならんよ。流石に殺人未遂だ。地下室に閉じ込めさせてもらう」
「ジジイ。離せはなせぇー」
林田勲が竹下育美を引き摺り、地下室に押し込め、鍵をかけて、戻って来た。
「女将、御無事ですか?」
「えぇ、ありがとう。竹下さん、どうしちゃったのかしら?真面目でしっかり者だったのに、急にあんな言葉遣い、それに、メリーちゃんがここにいるとか言い出すなんて」
「木下に山里と立て続けに2人失い。精神を病んでしまったのかもしれませんな」
様子を見ていた私も合流する。
「すみません、遅れました」
「刑事さん、この通り女将は無事です。ですが竹下の奴が、カクカクシカジカでして、やむおえず地下室へと監禁しました」
「そうでしたか。殺人未遂が適用されそうですね。どうして、そのような手段に駆り立てたのか話を聞かねばなりません。私が話を聞く時、林田さんは入口を見張っててくれますか?」
「えぇ、わしでよければ」
怪異を見えるものが迂闊に怪異に近づくと最悪の場合、皆を危険に巻き込む。だからメリーが消えてからタイミングを見計らい現れ、林田勲の話で、全てを理解したことにして、竹下育美に話を聞くことにした。地下室が防音であること私も見ていたこと。同じ見える人間になら竹下育美も冷静に話すと考えたのだ。
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