顕現
「――ふぇ?」
睡蓮は声に驚き目を覚ました。横たわっていた上半身を起こすと、六芒星の魔法陣は夜空に咲き散る花火のように儚く消失した。
「へぇ。少し犬臭いけど、結構可愛いじゃん。
「え?」
板の間の上、金髪の少年が二人。戸惑う睡蓮を挟んで、吊り気味の目を細めて笑い合う。
顔立ちから見て、睡蓮たちより歳下か。
二人は双子のような容姿をしていてとてもそっくりではあるが、斜めに流した前髪の分け目が左右逆であったりと、外見の違いが多少あるので見分けは簡単に付きそうだ。
太秦と同様この者たちも、和洋が混ざり合う風変りな格好をしていた。
しかし
「あ、あの昂くんはどちらに……」
「お目覚めの気分は、ど? ボク、白狐って言うんだ。君の名前を知りたいんだけど、教えてくれる?」
「おい。この巫女さまは、オレが先に話をするって決めてたんだぞ? あ、オレの名は黒狐。白狐と違って、大御神の恩恵を受けたこの
「あ、あの昂くんはっ!」
「はァ? 何言っちゃってんだよ黒狐。ねぇ君の
全く話を聞く気がないのか、懸命に訴えかける睡蓮を差し置いて、腰に腕を回したり手を握ったりと、初対面と思えぬほど馴れ馴れしくする二人。何とまあ軽薄な印象だが、危害を与えたりはして来なさそうだ。しかし手癖が悪いようで、次第にそれもエスカレートをしていく。それぞれの手が狩衣の胸元と裾に伸び始めた。
「「ぎゃう!」」
涙を浮かべて「イテテ」と頭を押さえる二人の背後に現れたのは、げんこつを作った太秦だった。
「
「あ! ヤタノカラスさんっ」
睡蓮を見た途端、そう人名のように呼ばれ太秦は言葉を失う。白狐と黒狐はここぞとばかりにといった様子で、愉快げに目配せをすると笑い転げた。
太秦は咳払いをして律したが、小首を傾げる睡蓮にはため息を吐くしかなかった。
「案ずるな陽の巫女。そもそも倭に連れて来るのは、そなただけの予定だったのだ。この世の者でない
太秦が一歩脇に
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