アンガーコントロールからの

 実はここではアンガーコントロールについての名文が載るはずだった。

 それはもう名文過ぎて、読者が皆私に惚れてしまうくらいの名文が載るはずだった。

 先日、エッセイのランキングを見ていたら、まったく同じオチのものを見つけてしまった。同じようなことを考えている人もいるものだと思って、リンクを貼った上でそのまま載せようと思ったのだが、そこでふと手がとまった。

 知り合いだったら、どうしよう。

 私が小説やエッセイを書いていることは誰にも知らせていない。リアルスペース上の知り合いは、私がう◯ちう◯ちと叫んでいることは知っていても、サイバースペース上でもう◯ちう◯ちと書き散らしていることまでは知らない。

 できることならば知られたくない。

 アンガーコントロールについては車に乗っている最中にいつも喋っていることだ。もしかして、あのランキングに載っているエッセイがカジン作だったらどうしよう。

 「あんた、家の恥を散々書き散らかした上にランキングが私よりはるか下とかうける」

 そんなことを言われたら、心と筆が折れてしまう。

 かくして、皆が惚れこむこと間違い無しの名文はお蔵入りすることになったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る