第4部 対王国最終戦争

2-4-1

僕たちが重川に襲われてから、約半月がたった。

そろそろ時期も10月と肌寒い時期に入っている。


あれから僕たちの関係性は大きく変化した。

まずレミリアとヒーレニカがハーレムに加わり、愛美も含めて他のメンバーは一気に遠慮がなくなった。

僕が受け止められるように努力する、と言ったことだけが原因ではないようだ。


一歩間違えれば死にかけ、あるいは死んでいたかもしれない状況が作り出されたことによって、ここが日本とは違い安全なんて文字はほとんどない世界なのだと再認識した為か、僕たちはお互いを求めるようになった。


最初は一応僕の部屋限定だけだったのが、次第に他の人の目が無い場所であれば所かまわず交わるようにすらなった。

最初はそのことに引け目を感じていた僕だが・・・

人間は慣れる生き物だとよく言ったものだ。

慣れてしまった僕は人目のない場所であれば僕の方から手を出すこともあるようになってきた。


加えて寒く感じることが多くなった分、密着すれば暖かい理論を持ち出されて、余計に密着するようになった。

さらに運動すれば体温が高くなるのと合わせて、行為に及ぶ回数が確実に増えている。


僕が言えることではないが、一部鈍感な男子を除いた全ての生徒たちは、僕たちの関係性を把握しており、その場に僕ら以外の人数が少ないと自然と人が去っていく現象すら起きている。


朝起きて、ふと下を見たら朝の一回戦が彼女らの意思によって始まっていたりすることも今となっては珍しいことではなくなっている。

今のところ、彼女らの中で果てるのはなるべく安全な日を狙っている。


単に子供の話だけではない。

重川がここまで大胆な行動を仕掛けてきた以上、この戦争は本当の意味で全面戦争を迎えたといって良いだろう。


これから危険な場面が、これまで以上にいくつも出てくる可能性があるのに、

素直に欲望に流され子作りをしている場合ではない。

が、そう思っているのは僕だけらしく彼女たちの方はむしろ積極的になっているように思える。


さらなる不安要素としては彼女たちとある程度親交のあった女子生徒たちもハーレムに加わる可能性が出てきているようだ。

正直今現在で手いっぱいなので、やめてほしいところだが・・・

僕に拒否権は多分無いだろう・・・


なお、とある黒歴史を踏んだ絵里奈だが、彼女狙い通り少しずつだが胸が大きくなってきている。

別に控えめの子を否定するつもりはないが、個人的には成長している方が好きだと感じている。

今までそういったことには無縁だったので曖昧なのは許してほしい。


また、保護区画でも一部女子の間ではその黒歴史による効果の高さゆえか、ヒーレニカのポーションは人気商品になった。

そこから波及して一部貴族でもそのあたりの悩みに直面している人からは、莫大な金額をつぎ込んで購入する人もいて、ヒーレニカが稼いだものではあるが、僕たちの資産はまだ増え続けている。


ちなみにこれらの、女子たちが過激な行動をとる原因の一つとなった重川は、とうに公国を離脱し王国へと逃げ帰ったようだ。


それと同時に保護区画で生活している生徒たちには、とある共通認識が生まれていた。

今現在も王国で暮らしている支配者層の生徒たちと、自分たちは、相容れない存在なのだという認識だ。


とはいえ、そんな者たちとは違い、基本的に平和路線なので自分たちの方から何かをするような過激な考え方を持つ者は、ほんのごく一握りしかいない。

殆どの生徒は次にやってくることがあれば一切容赦しないといった具合だ。


また時期が変わったことによって保護区画では暖房器具も徐々に使われてくるようになった。

電気ストーブ・・・といって良いのか分からないが、不思議な力ではたらく不思議ストーブは人気になりつつある。

このままいけば、コタツも必要になるだろうしと思われる。



大きく変わったのは皆の意識だ。

先ほどは積極的に何かをする生徒は少ないと説明したが、

向こうからやってきた際に備えての行動をする生徒が激増した。

そのため、ただの保護区画だった建物は今となっては高い壁に囲まれた一種の駐屯地のような状況になっている。


また、物は入手できなくても、知識が豊富な生徒が何人かいて、爆弾や地雷、鉄パイプを使った銃などを自作する生徒も出てきている。

僕の方は作り方が分からないので彼らから要望のあった品を購入しているだけなのだが、かなりえげつないことになりそうな予感がする。


また車が欲しいと言う生徒もいたため、目的を聞くとフロント部分を強化・・・凶悪化させて突撃をできるようにしようと生徒もいたので、こちらも手伝った。

といってもあくまでも防衛目的で使うことを条件にしている。


今のところ本格的な・・・日本に居たころの軍事装備ができているわけでは無いが、スキルなどが乏しい生徒たちでも、知識と僕のショッピングセンターで対応策を考えている者も出始めている。


そういったものの中でもとりわけ印象に強かったのがヒーレニカだった。

彼女は今までの法則から毒薬の製作方法を開発してしまい、その後も製作を続けている。

どうにも僕と愛美が死にかけた件が彼女の琴線に触れてしまったようだ。

時折、どこかの魔女のような怖い笑顔をしながら毒薬を作っているのを見かける。

まぁそういう日は大体、夜も大変なことになるのだが・・・


どちらにせよ着々と準備が進み、同時に皆の中にある認識が芽生えた。



『これが王国との全面戦争であり、最後の戦いだ』と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る