第3部 ファスペル辺境伯領
1-3-1
ファスペル辺境伯領に到着した僕は、追放されてからというもの直ぐに旅になったことなどが絡みかなり疲れていたのか、商業ギルドに向かうのを翌日にしその日は宿で休むことにした。
まだ夕方であったのにもかかわらず翌朝までぐっすりと眠ってしまったのはご愛敬だ。
翌日、商業ギルドに向かうことにした。
本音を言えばまだ、疲れが抜けきっているわけではないが、宿に泊まるにしても食事をとるにしてもお金が必要だ。
早々に稼ぐ方法を獲得しておく必要があるだろう。
少なくともアーガスト王国は最早信用できるものではないが、この国は未知数だ。
自分の目で見て、耳で聞いてしっかりと判断していけばいい。
宿を出る際に今日もここに泊まりたいということを伝えて宿泊費として小銀貨3枚を払っておく。
朝食も宿でとった。こちらは1回の食事につき大銅貨5枚。
これで昨日の宿泊費と今日の宿泊費で小銀貨6枚と大銅貨5枚の出費だ。
いざ商業ギルドに行こうと思ったが登録だけで終わらせるのはもったいない。
どうせなら商業ギルドかあるいは露店などを開いて売ることのできる物を入手しておくべきだろう。
そう思った僕はショッピングセンターを念じて中に入った。
そんなことを思いながらショッピングセンターに入ると、またあの音が頭の中に響いてステータスが出てきた。
『アイテムボックス(時間経過あり)を取得しました』
お!異世界転移ものの定番、アイテムボックスのスキルを獲得したようだ。
【アイテムボックス(時間経過あり)】
何処でも好きなものを入れ取り出せる便利な空間格納。容量は無制限だが時間経過があるため生ものを入れるには向かない。
時間経過による状態変化はあるが、温度の維持はできる。
なるほど。
この説明なら生肉をそのまま入れてしまえば、いつかは腐り果てるということだ。
しかし温度の変化はないとのこと。
確か沸騰した状態なら多くの雑菌を殺せるんだったな。
なら沸騰した状態で入れれば腐ることはないし、良い状態を維持できる。
逆に冷凍した状態を作り出せれば菌が繁殖しにくい環境を維持できるから長持ちしやすいわけだ。
使いどころが限られてはいるが、選択肢が増えたしバッグはカモフラージュ程度での使用でいいだろう。
有用なアイテムを探そうと解放されている食料品売り場を探す。
その際に思いついたのが先日の塩だ。
200gで大銅貨1枚の塩。前の世界においてはそれくらいの量であれば珍しくもなかったが、この世界では高品質のものとして認識されているようであった。
とりあえずは1㎏ほ購入して売ってみればいいだろう。
本当は10㎏ぐらい一気に売ってしまってみたかったが、どれくらいの価値がつくのかもわからない。
僕が思っている以上の金額がついてしまう可能性も否定できないのだ。
現段階では極端に目立つ行動は避けたい。
この世界では僕は独りぼっちだ。
誰かの後ろ盾があるわけでもないし、ちょっとしたことで身の崩壊につながる可能性がある。
価値と需要を見てから多く売るか決めようと思った。
そのほかに気になったのは胡椒と砂糖だ。
塩だけではしょっぱさしか感じないが胡椒があれば味にアクセントが生まれる。
また砂糖は甘さを生み出してくれる以上嗜好品を作るうえでは欠かせないだろうと思う。
そう思った僕は砂糖と胡椒を手に取って鑑定してみた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます