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王女様が怪訝な表情をしている。
気になった僕はなにがあったのか尋ねてみると、
「いえ・・・普通ステータスは当人が表示したり、ステータス表示板に現れるのですが、全くもって読めないのです」
【※※※※※】
【※※※※※】
確かに、文字化けしているようだ。
え・・・それじゃあ僕の能力はわからないままなの?
と不安に駆られていると
「それじゃあ勇者や剣士じゃなくて全く使えない能力ってことか?」
と重川君が放った。
その一言を皮切りに、生徒たちから嘲りや罵りといった言葉が多く出てきた。
自分の不安を打ち消すためが如く、僕に刃を向けてきているのが手に取るように分かった。
そして一通り能力鑑定が全員終わり王女様が口を開く。
「とりあえず、今日は皆さん混乱したりお疲れでしょうから宿舎へご案内いたしますのでお休みください」
その言葉を聞いた神官が出入り口から兵士を呼び出す。
兵士は僕らを宿舎へ案内するようだ。
宿舎へたどり着き食事をとり簡単なベッドへ案内された。
この世界で生きていくにあたりこれからどうすればいいのかと、絶望に飲み込まれそうになっていると、天神君が声をかけてきた。
「気を落とすなって。文字が化けてただけで能力がないわけじゃ無いんだから。きっとそのうち蓮司にも凄い能力が手に入るさ」
僕は静かに頷きつつも、すでにあきらめかかっていた。
それはそうだ。今まで珍しい能力を手にしているのは現実世界でもカーストの上位に位置する者たちだけだ。どこにでもいる平凡な生徒たちも肉体強化や魔法適正強化といったありきたりに思える能力を手に入れていたのだ。
誰とも交わらずほぼ独りぼっちでクラスの中にいた僕にそんな大層な能力があるとは思えなかった。
また多くの生徒たちと同じ能力が手に入っていると言われた方が納得ができたくらいだ。
そんなことをボーっと考えていると兵士から呼ばれたため付いていく。
「あの・・・どこへ行くんですか?」と兵士に聞いてみると、
「ベアトリーチェ王女様がお呼びです」と言われる。
そうしてついていくと先ほどの場所とは違う部屋に通された。
執務室だろうか・・・
部屋の奥中央に立派な机が置いてある。
先ほどまでは申し訳なさそうに謝っていた王女様だが、
表情は険しくその口から出てきた言葉は信じられないものであった。
「あなたにはこの王都から出て行ってもらいます」
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