足利

特急列車に乗って訪れたのは、北の鎌倉とかいうよく分からない謳い文句で人を呼び込んでいる足利市である。

連れは、それはそれは可愛い今の私の恋人なのだが、それは別の機会に。

足利の街の石畳は整備されていて歩きやすい。所々にある水飲み場の冷たいそれは、気の所為かもしれないが、地元のものとは全くの別物に思えた。同じエイチツーオーのはずなのに不思議だよなぁ。と、文系が二人で語ってみた。

そもそもどうして行くことになったかというと、仲の良い地歴公民科教員が勧めるのだ。中庸が学べるとか。どういうことかと思っていたが、そういう器具があるらしい。

鎖に吊るされたバケツに水を入れると、傾いていたそれが垂直に立つ。しかし、もっともっとと水を入れると、バランスを崩して水は零れてしまうのだ。ひっくり返ったバケツから放たれる水。舞い上がるしぶきが私たち二人を濡らした。他ならない青春そのものである。

帰り際に食べたわらび餅が美味しかったが、あれは確か鎌倉名物だ。

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