第13話 それぞれの修行
師匠の魔力値が500しか無いと知り驚いていると、俺と同じようにスキルによって魔力不足を補うことができたと言っている。
「そんなに気になるなら儂を鑑定してみるといい。それでわかるじゃろうて」
「ジーク、お願い!」
「わかった、やってみる」
師匠とシルに言われ、師匠を鑑定してみる。
師匠のステータスはこんな感じ。
名前:マーリン
種族:人間
HP:100/100
魔力:500/500
筋力:15
耐久:10
敏捷:10
《スキル》
【上級】火魔法・・・火属性の魔法
【上級】風魔法・・・風属性の魔法
【特級】鑑定・・・あらゆるものの情報を見ることができる
【王級】火操作・・・不明
【王級】魔力消費軽減・・・不明
王級スキルを2つも所持しているとはさすがは賢者と呼ばれているだけのことはある。
俺は、見えたものを2人に伝えた。
「じゃあ、おじいちゃんはその『魔力消費軽減』ってスキルのおかげで魔力不足を解決できたの?」
「そうじゃな。このスキルの効果は、【魔力の消費量を10分の1にする】というものじゃ。つまりこのスキルがあるから儂の実質の魔力値は5000ということになるのお」
「そ、それはすごいスキルですね」
師匠のスキルの効果を聞いて、驚いた。そのスキルがあれば、他の人が1000は使ってしまう魔力もたったの100の消費量で抑えることができる。
「もう一つの『火操作』ってスキルは〜?」
「そのスキルは自然の火でも自分で生み出した火でも火であれば、儂の思うがままに操作することができるというものじゃよ。このスキルが儂が火の賢者と呼ばれる所以じゃな」
「すごい………!」
「ほえ〜、おじいちゃんってすごいんだね〜!」
火の賢者の真髄を知ることができて、俺とシルは感激していた。
「さて、儂の話はこの辺にして。では今からジークは儂と修行、シルヴィちゃんはセレナに魔法の使い方について教わるといい」
「はい!」
「よろしくお願いします!セレナちゃん!」
「……ええ、よろしく」
師匠のスキルについての話も終わり、俺は師匠に修行をつけてもらい、シルはセレナさんに魔法を教わることになった。
♢ ♢ ♢
シルとセレナさんと別れたあと、俺と師匠はあのでかい木の前まで来ていた。
「これからジークには毎日この『ルフの神木』の頂上まで登ってもらう」
「こ、これを毎日登るんですか?」
師匠がルフの神木と呼んだこの大木は、全長100m以上はあるんじゃないかというような大きさだった。
「まぁ、儂もすぐに登れるようになるとは思ってないわい。そうじゃなぁ〜、3ヶ月であの半分くらいのところにある枝のところまで、半年で頂上まで行ければまずまずかの」
「半年でこれを………」
「登れるようになるまでは、次の修行はお預けじゃからがんばるんじゃぞ」
最初の修行はこの木を上まで登り切ることとなった。
師匠曰く、半年で登り切ることができればいいらしい。
これができないと次の修行はつけてもらえないとのことなので、俺は気合いを入れる。
「よし!やってやる!」
「落ちたら儂が魔法で助けてやるので、気にせず登るとよい」
「はい!」
木に触れれるところまで来ると、改めてこの木の大きさを実感する。
俺は覚悟を決めて登り始めた。
木には手や足をかけられる場所が要所要所にあるが、かけているだけでも体力を使うため、とても休めそうにはない。
登り始めて、やっと20mに差し掛かるというところで足を踏み外し落ちてしまう。
「うわぁ!!」
「《ウィンドスポット》!」
俺は20mという高さから落ちたが、師匠の魔法のおかげで落ちる瞬間に風で助けられて、無事に地面に着地することができた。
「休んでる場合ではないぞい、ほれ、どんどん行かんか」
「ガァ!ガァ!」
俺が地面に座り込んでいると、師匠とファイが休んでないで早くやれと言ってくる。
「くそ!もう一度だ!」
「ほっほっほっ、その調子じゃ」
♢ ♢ ♢
シルヴィside
ジークとおじいちゃんと別れた後、私はセレナちゃんに魔法について教わっていた。
「シルヴィは、魔法を使う上で重要なことは何がわかる?」
「うーん、魔力とか?」
「それももちろん必要だけど、1番はどんな魔法なのかイメージすること、つまり想像力が重要よ」
「想像力………なんだか難しいね」
「それをしやすくする為に呪文があるの。基本は呪文に応じたイメージするのがいいと思うわ。見てて、《ウィンドエッジ》!」
セレナちゃんが手を前に出しそう言うと、風の刃が出て木を切り倒した。
「わぁ、すごーい!」
「そ、そんなに大したことじゃないわ」
私が拍手をして褒めると、セレナちゃんはちょっと照れくさそうにしている。
「今のは風の刃のイメージをする呪文よ。《ウィンドエッジ》はそんなに難しい魔法じゃないから、やってみて。風の刃をイメージにして、そのイメージに魔力を込めるの」
「わかった!やってみる!」
彼女の説明を聞き、私は手を前に出す。
言われた通りに風の刃をイメージする。
そしてそのイメージを具現化するように魔力を込め、呪文を口にする。
「《ウィンドエッジ》!」
すると、風の刃がでて、前にあった木を10本近く切り倒した。
自分でも思った以上の威力で驚いていると、隣で見ていたセレナちゃんは目を丸くしていた。
「シ、シルヴィ!あなた!なにをどうしたらこうなるの!」
「え、えっとぉ、言われた通りにイメージに魔力を込めて呪文を言っただけだよ?」
すごい勢いで彼女に問い詰められるが、私は自分がしたことを正直に答えた。
「はぁ………なるほどね。魔力値が多いってのはこれほど違うってわけね」
彼女曰く、私の魔力値が他の人より多いから、魔法を使用する魔力の割合が一緒でも量が異なるから、威力に差が出るとのことだった。
その後も魔法の練習は続き、風魔法も水魔法も簡単なものは一通りできるようになった。
「風魔法と水魔法はどうにかなったけど、光魔法なんて私は教えられないわよ?」
基本の属性の魔法は、情報が出回ってるから教えられるみたいだけど、光魔法、闇魔法というものはそもそもそのスキルを持ってる人自体が少ないらしく、教えられる情報がないらしい。
「多分それは大丈夫かなぁ」
「??大丈夫ってどういうこと?」
「なんとなくわかるんだ。どういう風にしたらいいのかってのが」
「ふーん、そう。………………貴女は才能があっていいわね」
自分でもどうしてかはわからないが、光魔法の使い方、呪文などがなんとなく感覚で分かる。
セレナちゃんはそれを才能って言ってたけれど、私にはそうとは感じていない。
「そろそろお昼になるし、マー爺たちと合流しましょ」
「そうだね、そうしよ!」
そうして、私たちはジークとおじいちゃんの元へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます