理想の女の子を作ろうとしたら、異世界で理想の女の子になっていた。

@aira0011

第1話

「給料少ないけど定時に終わる職場って最高だな」



高校卒業して就職した職場がブラック企業だったせいでストレス溜まって、美味しい物を食べる事だけが唯一の楽しみになり、気が付いたら身長170㎝で体重75㎏になっていた。ストレスと不摂生により体調を崩して3年で会社を退職した。忙しくてあまりお金を使う機会がなく、残業代もちゃんと支払われていたためお金に余裕はあった。



新しく入った職場は基本残業も無く、嫌がらせや厳しいノルマも無く働きやすい職場だった。唯一の欠点は仕事をしたがらない人が多い事位だ。



前の職場のようなストレスはないけど、美食に目覚めてしまった俺は中々痩せられ無くて、未だに彼女は居ない。まあ元の顔があまり良く無いから痩せてももてる要素も無いんだけどさ。



それから食べる事以外の趣味を探して、今ハマってるのがVRゲームだ。色んなゲームを触ってるけど、今一番ハマってるのが【クリエイト・アーク・オンライン】だ。



このゲームは文明があまり発展していない巨大な星で遊ぶゲームだ。文明を発展させたり、未知なる土地を探索したり、強大な力を持つモンスターと戦ったり、様々な遊び方が出来るゲームだ。課金要素もあるけど、基本的にはプレイヤーが作った物の方が性能は良いのでそんなにお金はかからない。月額料金とたまに課金する位だ。



ご飯とお風呂とトイレを済ませてVR用のカプセルベッドに入る。起動すると蓋が閉まり大きめのヘッドセットが頭部全体を覆う。



「リンクスタート」



すると徐々に体の力が抜けていき冬眠状態になる。



「ようこそ野宇間(のうま)様」



システムメッセージが表示されるとモード選択からゲームを選び、【クリエイト・アーク・オンライン】を選び起動する。



「今日はどのキャラクターでログインしようかな。昨日までは戦闘用の男性キャラ使ってたから、今日は万能タイプの女性キャラにしようかな」



女性キャラを作る男は意外と多い。理由は単純で自分の理想の女性を作る為だ。その思い入れが強い分キャラクターへの愛着をひとしおだ。



最初はこのキャラクターは自分好みの可愛い装備を着させる為に生産寄りに作ろうとしていたが、次第に可愛い服や格好いい服で戦ってる姿が見たくなり、戦闘動画を録画する癖がつき、格好いい動きを再現する為に他のVRゲームの剣術訓練や格闘技訓練等も使って理想の動きを再現出来るようになった。



すると気が付いたら戦闘寄りの生産職になっていた。どっち付かずなステータスやスキルになってしまったけど、そこは鍛えたプレイヤースキルでカバーすればきっと大丈夫。





なはず。



きっと。






「キャラクター【エリン】でログインします」



システムメッセージが表示された後、ホームのマイルームに着いた。



「何度見てもこのキャラクター可愛すぎる」



思わずにやけてしまう。薄いピンクゴールドの髪に、長い髪の半分位には少しウェーブがかかっていて、目は大きく二重で切れ長で少したれ目。顔は小さくて顎が小さく可愛いより美人寄りな顔。唇は小さく桜色で瑞々しい。色白で透明感と艶のある肌に、張りのある弾力。触ると気持ちいい。少し肩幅が広く華奢な体型。手足が長く緩やかな腰の括れ。指も細く小さいながらも長い指。正に完璧。俺の理想の女の子。



「お、新着メッセージが来てるな。ふむふむ。レイドボスへのお誘いか。今日の12時開始ならもう少し時間があるな。素材採取しながらレベル上げでもするか。もう少しで転生出来るからな」



このゲームではキャラクタークリエイト時に様々な種族が選べる。勿論能力値も違う。そして一定以上のレベルに到達するとより上位の種族に転生する事が出来る。それが転生システムだ。



転生する時にはその種族に関連する種族に転生するが、これまでのプレイスタイルによって選択出来る種族が変わって来る。人間での特殊な転生先で有名なのは【天使】と【悪魔】だ。



基本的には良いことをいっぱいすれば【天使】、悪い事をいっぱいすれば【悪魔】に。そしてどんなプレイでも出てくるのが【仙人】だ。そしてこのゲームでは転生したら上位プレイヤーへの仲間入りと言われている。



何故かと言うと、戦闘メインのキャラの場合は自分と同レベル以上の敵からしか経験値が得られないからだ。能力の上げ方を間違ったり、スキル振りを間違えたり、プレイヤースキルが足りなかったりすると同レベルの敵を倒せなくなってレベルが上げられなくなるからだ。まあ他にも経験値を稼ぐ方法もあるけど。



生産職は高レベルの生産アイテムの成功で経験値が入る仕組みだ。



だからどんなキャラクターを作るにしても、ある程度特化した構成にしないと満足に遊ぶのは難しい。その為大体の人は複数のキャラクターを運用している。



俺は拠点に居るゴーレム馬に乗りレイドボス近くのフィールドに向かった。






「あ、ゼンさんおひさ。先に来てレベル上げしてたんだ。パーティー組まない?」



「おー。エリン氏か。よいぞ。それにしても相変わらずキャラクリに気合い入ってる。流石がはエリン氏。その唇の色は期間限定で出てる課金限定の色ですな。化粧品買えば安くてすむのに。思い入れの違いですかな?」



「まあゲームの中で化粧するのメンドイし、スッピンで美人とか最強じゃん?」



「確かに。パーティー送ったぞい」



「ありがとさん。ほんじゃ行きますか。ゼンさん居るから私前衛で。今日はロングソードで行くから宜しく」



「お任せ下さいエリン氏。バッチリサポート致しまする」



早速サイクロプスに向かって突撃。近づくとサイクロプスに向かって飛び上がる。



するとサイクロプスは棍棒を振りかぶって叩き付けてきた。それを叩き付けに合わせて剣でジャストパリー。ジャスト判定が出た為、衝撃波が発生して棍棒が弾けてそのままサイクロプスにもダメージが入る。



ダメージの余波でサイクロプスの体制が崩れたので空中に魔力場を形成して更に飛び上がる。



頭の位置まで来ると剣に雷を纏い縦回転しながら切りつける。落下しながらも回転しながら切りつけてサイクロプスの足元に着地。



「決まった」


サイクロプスは棍棒で横殴りしてくる。それを飛び上がって回避して、魔力場を蹴ってサイクロプスに飛びかかり、すれ違い様に切りつける。



背後に回ると更に魔力場を蹴り背中へと切りかかる。津にに後ろから切りつけていると、サイクロプスは回転しながら裏拳を放って来る。それをジャストパリー。そのまま流れる様に魔力場を蹴り上空へとかけ上る。



するとサイクロプスが体制を崩してる後ろでゼンさんが魔力を練り上げているのが見える。膨大な魔力を練り上げている為に魔力の奔流で体が宙に浮かんでいる。



「フレアバースト」



物凄い爆発が起きサイクロプスが膝を付く。



そして私は逆さまになり魔力場を蹴り勢い良く落下する。



「メテオインパクト」



落下の勢いと切りつける力で思いっきりサイクロプスの頭部に剣を叩き付けた。



すると物凄い衝撃波が発生して半径50m位の地面が弾け飛びクレーターが出来ていた。



「決まった」



「流石エリン氏、カッコ良さにも拘る所が素晴らしい」



「ま、最後のは自傷ダメージも半端無いけどね。カッコ良さには変えられない。外したら落下ダメージで死ぬけど」



「外したら恥ずかしい所の騒ぎじゃないですな」



そうやって遊びながら狩りをしていたらレベル120になって転生可能になった。



「ゼンさん、転生出来る様になったから一旦拠点に戻るね」



「了解です。ではまたレイド戦で」



「後でねー」



そのまま拠点に着きベットに横になる。前から天使になりたかったから天使が出てれば天使に。良い転生先が無ければNPCのクエストでもして天使が出るまで粘ろう。



転生システムを起動するとシステムメッセージが表示される。



【転生の承認を確認しました。転生システムを起動します。エリンのステータスを解析しています。輪廻システムからの開放を行っています。解析完了。輪廻システムからの開放を確認しました。エリンの肉体と精神を魂に変換して転送します】



「え?何?バグ?どうなってんの?」



すると急に意識が途切れた。



目を開けるとうっすらと女性の用なシルエットが見える。何か話しかけられてる気がするけど理解出来ない。それに上手く頭が働かない。



私はそのまま眠りに落ちた。


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