第3話 落つる星
ある日見慣れない人が二人のもとにやってきた。初めのうちは追い返していたが、何度も来るので話を聞くことにした。どうやら女王からの手紙を持参した使いのようだ。
手紙の内容は、城の魔法使いや天文学者がどうやら星が落ちてくることを観測し、伝説にある「落つる星」と確認できたのだが、どうするかいい案が浮かばない。伝説によると「星の魔女」が知っている魔法で砕け散ることができると言う。しかし王都には星の魔術を使えるものがいない。「光」の魔女ならば「星」「月」「火」「水」「土」の魔法を全て知る。まさしく彼女が「光」の魔女だった。
そして彼女は言った。
「今、私は人を好きになりました。初めて信頼できる人だと思いました。だからもう魔力は残っておりません。術式を知っていても、魔力がなければ発動しません。どうかお引き取りください。」
と。さらに
「もし魔力が残っていたとしても、もう魔法を忘れてしまった人たちのために力を貸すのは嫌です。どれだけのことを私たち魔女にしてきたのかをお忘れてしょうか。」
そう言うと彼女の目は少し涙が溢れていた。
どうしようもないと思った使いはがっくり肩を落として帰っていった。
彼がそっと魔女に近寄ると
「ごめんなさい、あなたとの世界を守れそうにないわ。」
と言う。そうすると彼が
「大丈夫、いままでたくさん君からはもらったのだから、何も後悔することないよ。最後までいっしょにいよう。」
と返した。
二人は星が落ちてこようといつも通りの生活をしようと誓い合っていた。
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