佐蛇牙島 異説八百比丘尼伝
しき
第1話
暇な学生の身分である俺はバイトで貯めたお金でN県にある島。
ともかくオカルト好きでホラー作家を目指している俺にとって見れば訪れてみたい場所トップ10に入るぐらい憧れの聖地であった。
特に俺の興味をひいたのが
この
それに加えて他の
まぁ、変なオカルト雑誌やネットの話などで『実在した
しかし、
結果的にこれらの観光は楽しく、有意義な時間ではあったが俺のオカルト脳を満足させるような物はあまり無かった。言ってしまえば普通の観光名所を巡っただけ、期待しているような
まぁ、それに全く収穫がなかったというわけでもない。やはり実際の歴史ある建物を見れたのは今後の小説にいかせそうではあるし、知っている様な逸話でも現地を実際に見ることで理解度が高まったような気がする。
何より歴史博物館で見た黄金の装飾品の数々は俺の目を奪った。芸術に疎い俺でも素晴らしい物だと感じた。
多くは無いバイト代では一泊二日がいいところだ。明日には帰らなければならない。実際この一日で予定していた所はほとんど見れたし、これぐらいがちょうどいいのかもしれない。日も落ち暗くなってきた。
俺は旅館に帰る前に
夜、
この並んだ2つの
「ちょっと、そこの貴方」
「はい!!」
突如として後ろから声をかけられ振り向く。変な妄想をしていたため驚き、オーバーリアクションをしてしまった。怪しい人にでも見えてしまっただろうか?そもそも俺にかけた言葉だったのだろうか?
そう思いながら振り向いた方を見て俺はさらに驚いた。そこにはまるで絵に描いたような美しい
「……」
あまりにも想像していなかった光景とその女性の美しさに俺は言葉を失った。
「あぁ、驚かせてすみません。昔の知り合いに雰囲気が似ていたもので思わず声をかけてしまいました。しかし、まぁ、お顔もそっくり」
新手のナンパだろか?いやいや、
「そうなんですか。俺はたまたま観光でこの島に来たのですが、その人はこの島の人ですか?」
顔が似ているとなると親戚が思い当たるが、
「彼の出身はこの島ではありませんが、長い間この島には滞在しておりました。特にこの場所がお気に入りで熱心に足を運んでおりました」
「信仰深い人だったのですね」
話しぶりから察するに亡くなられた人なのだろうか
「えぇ、彼の故郷は漁村でしたからね。そこでの交流で厚い信仰心に目覚めたのでしょうね」
なんだか話しの方向が
「すみません。俺、そろそろホテルに戻らなくちゃいけないんで失礼します」
「そうですか、残念ではありますが仕方ないですね。まぁ、縁があればまたお会いできるかもしれませんね」
そう言い祈るような仕草をした
本当に不思議な
この
「
「
「
その呪言が唱えられるたびに何か得体のしれない巨大なモノが近づいて来ているように感じる。
ふと、自分の手を見る。周り生き物達と同じ不気味な
「うわぁーー!!」
叫びながら目覚める。恐る恐る自分の手を見た。普通の人間の手を見て安心する。嫌な夢を見たせいか異様に喉がかわいている。汗が気持ち悪い。冷蔵庫にしまったペットボトルの水を取りに起き上がる。その途中、鏡に映った自分の顔を見て先程と比にならない悲鳴を上げた。
そこには…
人知の及ばない海底の宮殿。そこに不気味な声が響く。
「イア、イア、クトゥルフ」
「イア、イア、クトゥルフ」
星々が正しい位置にきたその時、大いなる神は目覚めて矮小な人間達にその姿を現すだろう。
佐蛇牙島 異説八百比丘尼伝 しき @7TUYA
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