第4話:ろくでもない家族
我が家の扉を開けた瞬間、酒の匂いと笑い声がした。
座敷を覗くと、豪奢な寿司桶とドンペリの瓶が転がっている。今日は外食ではなく出前らしい。
「平日から未成年に酒飲ませんなよ……」
「おっ、残飯漁りが寄って来たぞ!」
ゲラゲラ笑っていた父、母、姉、妹が良太の方を向いた。
「あーサイアク。せっかく気分良かったのにムカつくツラ見せやがって。テメェ、また説教臭いこと言ったら今度こそブッ殺すぞ」
姉の
やたらと運動神経が良く身体能力の高い姉には、小学生の頃から何度となく乱暴されたものだ。
酔っぱらいが暴れて座敷が汚されてはたまらない。片付けるのは良太だ。
良太がやらなければ、父の愛人辺りが呼ばれて家に上がり込んでくることになる。
その辺に放り出してある宝石をちょろまかされるのが関の山だ。こいつらは気づきもしないで新しい物を買ってくるのだが。
「何を物欲しそうに見てるのですか? 貴方の分まで買うはず無いでしょう。お金は大事だから節約するんですよね? まずは言い出した人から実践してもらわないと」
妹の
爺ちゃん婆ちゃんが遺してくれた金を無駄遣いしちゃいけないんじゃないか、
と、発言してしまって以来、良太に関わる金は学費や娯楽費はもちろん、食費から被服費に至るまで徹底的に
教材扱いで支給される制服とジャージが、良太の普段着だ。
「あっはははははは! 何その
母、
それでも、金をバラ撒かねば若い男を囲えなくなってきているようだが。
「今日も生意気なクソガキはイジメられたか! くぁーっ! 酒が
父、
解治とは良太の叔父で、つまりは将人の実の弟だ。
祖父母は二人の息子に遺産を相続させる際、弟には事業にも関わりのあった土地や建物、及び所有株式などの有価証券を、兄には私用しているだけの土地と家屋敷、及び預貯金等の現金を相続させた。
有価証券の一部を換金し、祖父母は二人の息子に遺産を等分した。
父は、祖父と叔父を深く憎んでいる。良太が叔父に助けを求めれば、父は何をしでかすか分からない。妙に若い娘を働かせている怪しげな店に足繁く通ってチップをバラ撒き、店のバックにいる連中と浅からぬ付き合いをしているような男なのだ。
良太は何度目になるかも分からない溜息を
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