蛍と私のある夏の出来事

蛍ご来光から看取りまで：全20句

蛍の到来：6句

1.

蛍来し　希望の明かり　たずさえて　

ほたるきし　きぼうのあかり　たずさえて

2.

干しカゴの　ドクダミベッド　蛍待つ

ほしかごの　どくだみべっど　ほたるまつ

3.

蛍世話　幼き日々を 思い出し

ほたるせわ　おさないひびを　おもいだし

4.

光りつつ　冷凍リンゴを　テクテクと

ひかりつつ　れいとうりんごを　てくてくと

5.

ふんわりと　逃げる蛍を　手でくるむ

ふんわりと　にげるほたるを　てでくるむ

6.

手の平の　蛍と心　通じ合い

てのひらの　ほたるとこころ　つうじあい

蛍との楽しい日々：5句

7.

暗闇で　かざすスマホに　ピカる蛍

くらやみで　かざすすまほに　ぴかるほたる

8.

思いきり　吸って吐くよな　威嚇光

おもいきり　すってはくよな　いかくこう

9.

手の平を　網につければ　近寄る子

てのひらを　あみにつければ　ちかよるこ

10.

干しカゴの　網から網へ　練り歩く

ほしかごの　あみからあみへ　ねりあるく

11.

夜迄は　体ひそめて　生きている　

よるまでは　からだひそめて　いきている

天国が近くなってきて：5句

12.

覚悟した　短命なのに　悲しい日

かくごした　たんめいなのに　かなしいひ

13.

羽ばたけど　飛べないけれど　テクテクテク

はばたけど　とべないけれど　てくてくてく

14.

手の平の　ゆりかご傾け　滑り台　

てのひらの　ゆりかごあずけ　すべりだい

15.

さあ逃げて　ぐーからパーへ　逃げぬ動かぬ

さあにげて　ぐうからぱあへ　にげぬうごかぬ

16.

カゴ提げる　蛍の軽さ　命の重み

かごさげる　ほたるのかるさ　いのちのおもみ

ありがとう蛍～りんごの上で延命す：4句

17.

冷凍の　リンゴに乗せて　延命し

れいとうの　りんごにのせて　延命し

18.

ふり絞り　体動かす　魂や

絞り出す　体が動く　魂や

19.

朝霧に　溶けし蛍魂　吸い込みて

あさつゆに　とけしけいかい　すいこみて

20.

エタノール　蛍どくだみ　ギュウと蓋

えたのーる　ほたるどくだみ　ぎゅうとふた