第3話
どうやら本当に僕は異世界に召喚されたらしい。帰れないということは送還魔法のようなものは無いということだろうか?
「それにしても妙だ、異世界召喚の対象はガトランドに召喚されるはず。それが何故こんなところに一人で放り出されている? 発光現象のほかにもどのような状況だったか教えてくれ」
「他に特別なことはなかったはずです。後ろから人に追突されたときに地面が光っていることに気づいたらすぐにあの場所に立っていました」
「ぶつかられた? 近くに光って場にいたのはお主とその者だけか?」
「他に二人いたはずです。僕も合わせて四人いました。そういえばあの光が召喚魔法なら他の三人はどこへ? この辺にはいなかったんですか?」
「いなかった。おそらく他の三人はガトランドにいるはずだ。お主が一人で放り出されていた理由もようやくわかった」
他の三人はしっかり召喚されていて僕だけ違う場所に召喚されてる。そういえばぶつかられてから僕は光に気づいた。もしかして元々は召喚対象じゃなかったんじゃ?
「お主はそもそも召喚対象じゃなかったんだ。他の三人の召喚に巻き込まれただけ。そのため召喚されはしても召喚先の座標指定はされなかった。だから関係ない場所に一人でいたというわけだ」
どうやら本当に召喚対象じゃなかったらしい。ただ運が悪かっただけなんてとショックをうけているとユキナさんがフィリアさんに問いかける。
「なんで巻き込まれたってわかるんですか?魔法が上手くいかなくて指定した座標に召喚できなかった可能性もあるのでは?」
確かに。異世界から召喚するって位だから簡単なものではなさそうだ。上手くいかない可能性だって当然あるはずだ。
「その可能性も確かにあるが、いままで異世界召喚された者は全て三人の若者だったはずだ。三人が召喚される際にソラが紛れ込んだ可能性が高い。どちらにせよ悪意をもってこの森に近づいたわけではなさそうだ」
「召喚主が近くにいないなら送還もできないしすぐに帰ることも難しそうですね」
「というよりも異世界召喚には送還する方法は存在しないはずだ。今までに帰ったという者のことは聞いたことがないし、かなりのコストを払って召喚した者をわざわざ送還することは想定していないはずだ」
つまり僕これからまったく知らない土地で一人で暮らしていかなければならないということだ。これからの未来を想像して途方に暮れてしまう。
「ならこのままこの森で暮らしてもらったらどうですか。悪い人ではなさそうですし、異世界の話も聞いてみたいです」
ユキナさんがこんな提案をしてきた。頼れるものもいないし正直かなり助かる。
「いいんですか!? とても助かります」
「まあ問題ないだろう。森の皆に紹介してここでの生活の仕方を説明していってやろう。着いてくるがいい」
そう言ってフィリアさんは僕に着いてくるよう促してきた。
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