第6章135話:他者視点

最終回まで、あと10話を切りました!

もう少しで完結です。

完結となると、ちょっと名残惜しいですが、最後まで気を抜かず執筆していきたいと思います。

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<来花視点>


来花の自邸。


モダンハウスの二階、自室にて。


来花はパソコンを開き、ネットで大阪大会の試合を観戦していた。


ついに決着。


なんと、ルミの勝利で終わったのだ。


「ルミさん、本当に勝っちゃったのね……」


チサトンとルミの激闘。


お互いを極限まで高めあい、全てを出し尽くすかのようなぶつかり合いを制したのは、ルミであった。


その戦いは、観戦している者の心すら熱くするもので……


来花も、しばし、時間を忘れて見入ってしまったほどだ。


「同接数もおかしなことになっているじゃない」


現在、大阪大会・公式の生配信の同時接続数は、異常な数値を記録している。


なんと2000万人を突破しているのだ。


常軌を逸した盛り上がりであり、大阪大会において、過去最大であることは間違いなかった。


東京大会すらも越えているかもしれない。


もともと今年の大阪大会は、チサトン参戦の影響で、例年より高めの同接数で始まったが……


初日にルミがメイを破ってから、驚異的な伸びを見せ続け、決勝でさらにバズりまくり……


大会3日間をかけて、ついに同接2000万の大台に乗ったというわけだ。


「あたしも頑張らなきゃダメね」


自分が、ルミやチサトンのレベルに到達できるかはわからない。


でも、一歩ずつだ。


一歩ずつ、確実に、彼女たちの跡を追いかけていく。


それが来花の信念であり、配信道なのだから。






<リリミア視点>


ちょっとリッチなデザイナーズマンション。


その上階に住むリリミアは、街を眺められる大きな部屋で、大阪大会の試合を観戦していた。


たったいま、ルミの勝利をもって終幕した大阪大会。


「きゃああああああああああああ! ルミ様! ルミ様! ルミ様ぁぁああああああ!!!」


リリミアは狂乱する。


髪を振り乱して歓喜したあと、床のマットレスの上に寝転がり、ごろごろと転がりまくった。


「きひゃああああああああああああああ!! ほわあああああああああああああああっ!!!」


リリミアはルミのことになると、気が狂う性質がある。


ガチファン。


熱狂的な信者なのであった。


「こうしちゃいられませんわ!! ルミ様が勝利した、この素晴らしき公式配信を拡散しませんと!!」


立ち上がったリリミアは、さっそくパソコンに向かい、全力の推し活動を始めるのだった。





<ルミママ視点>


ルミの実家。


和室のリビング。


ルミママは、テレビの前で微笑を浮かべる。


「勝ちましたか……」


自分の娘の勝利に、ルミママは、心の中で拍手を贈る。


ひとり、誰にともなくつぶやいた。


「この戦いを制したことは、ルミにとって、大きな糧となるでしょうね」


こういう、己の全てを引き出してくれる戦いは、必ず、自分自身を成長させてくれる。


ルミが、チサトンとの戦いで得られたものは、一生の宝物となるだろう。


「あのの今後が楽しみです」


と、ルミママは微笑んだ。


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