第6章106話:苦戦


観客たちも驚愕している。



「瞬間移動……」


「あんなスキル持ってるのか、ルミってやつ」


「チサトン頑張れー!!」


「チサトン!!」


「負けるなチサトン!」


「やり返せー!!」




神埼『ルミ選手が今大会、はじめてスキルを使用したようです! それはまさしく瞬間移動! ステージ上を自由自在に、一瞬で移動することができます!』


新田『私もアレ、欲しいなぁ。職場から一瞬で家に帰れたら便利なのに』




実際は、瞬間移動には距離制限があるので、職場と家が遠く離れていれば、一瞬では帰れない。


……というのは、どうでもいい話だ。


ルミは瞬間移動と剣舞を駆使しつつ、チサトンに攻撃を浴びせていく。


「ふふ、ははは。おもろいな。対人戦で、こんなに攻撃食らったのは久しぶりや!」


チサトンが笑う。


そのとき。


「!??」


チサトンの背後に瞬間移動したルミの眼前に、刀が迫った。


驚いてルミは後ろに下がる。


チサトンが追いすがる。


ルミは瞬間移動でチサトンの斜め後ろに移動する。


が。


「そこや!!」


チサトンの刀が、ふたたびルミに迫り――――


今度こそ、ルミに一撃を与えた。


「ぐあっ!!?」


吹っ飛ばされてもんどり打つ。


なんとか受身をとって、体勢を立て直す。


しかし、ルミは、戦慄していた。


まさか。


瞬間移動までも、見切られたというのか?


「くっ!」


ルミは気を取り直して、再度、瞬間移動。


攻撃を繰り出す。


だが。


「ふっ!!」


チサトンが、瞬間移動を先回りするかのように、斬撃を繰り出す。


またもや、ルミにクリーンヒット。


ルミが転がりながら、体勢を立て直す。





観客から大歓声が上がる。




「うおおおおおおおおおおお!」


「ぶっ飛ばした!!」


「さすがチサトン!!」


「チサトン……すげー!」


「やっぱチサトンの独壇場だ!」


「瞬間移動を先回りして攻撃するとか、やっぱメチャクチャだわ」


「チサトオォォォオン!!」




会場は大盛り上がりだ。


いや、会場だけではない。


配信も、ネットも、テレビも。


日本中が、大盛況していた。






<バトルアリーナ大阪大会を語るスレ2980>



722:名無しの大会観戦者さん

すげー戦い




723:名無しの大会観戦者さん

うおおおおおおおおおお

瞬間移動破ったあああああああああ!!




724:名無しの大会観戦者さん

なんであんなの見切れるんだよ。すげー




725:名無しの大会観戦者さん

天才同士の戦い

でもチサトンの上かな、やっぱ




726:名無しの大会観戦者さん

これが年間ランカーだああああああああああ!





727:名無しの大会観戦者さん

ここまで保っただけでも優秀だよルミは





728:名無しの大会観戦者さん

ルミの必殺技が破られた!





729:名無しの大会観戦者さん

もうチサトンの勝ちっしょコレ





730:名無しの大会観戦者さん

ルミも決して弱くはない

年間トップ30位ぐらいにはなれるかもな


でも相手は、年間トップ30位でも及ばない、真の怪物だったというだけのことだ

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