第5章99話:チサトン視点3


と、千里が言ったとき。


周囲に、いつの間にか人だかりが出来始めていた。


「チ、チサトンさん!」


「チサトンだあ!」


「チサトンさん、一緒に写真撮ってくれるんですか!? じゃあ、俺とも一緒に撮ってもらえませんか!?」


「あたしも! 一緒に撮ってください!」


10人、20人と、写真を希望してくれる人たち。


千里は困ったように肩をすくめた。


「あー、ウチ、試合までそこそこ時間はあるけど、こんなに多いとさすがに無理やな」


と、言うと、何人かは残念そうに肩を落とした。


そこで千里は、提案した。


「そや。全員で一緒に撮らへんか? 集合写真みたいな感じでな。撮った写真は配信やSNSでアゲさせてもらうけど、それでよければ」


提案に対して、一同は、もちろん異議など唱えない。


「賛成です!」


「是非そうしましょう!」


というわけで、全員で写真を撮ることになる。


数十人が、集合写真のごとく並ぶ。


センターは、もちろん千里である。


ちょうど撮影台を持ってきてる人がいたので、そこに千里の携帯を立てる。


あとはタイマー撮影のアプリを使って――――


撮影。


そのあと携帯を確認して、撮影写真をチェックする。


「うん、ええ感じや!」


即効で、千里は配信のチャンネルページにアップロードした。


「ウチのチャンネルページにあげといたで。みんなよければ確認してな!」


「あ、ありがとうございます! チサトンさん!」


「きゃあああああああ! チサトン様と写真撮っちゃった!」


みんながはしゃぐ。


それを見て千里が微笑みながら、言った。


「ほな、ウチそろそろいくわ。みんな、ありがとうな。試合、応援してな!」


「絶対応援します!」


「次の試合も頑張ってください!」


手を振って、千里が去る。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る