第5章82話:旅館の料理
「あ、そうだ……!」
ルミは携帯を取り出した。
窓から眺められる琵琶湖を、パシャッと写真で撮る。
それをメッセンジャーアプリで、コトリに送った。
『琵琶湖に着きました』というメッセージつきで。
すると、すぐにメッセージが返ってきた。
コトリ『琵琶湖いいなぁ……! めちゃくちゃ綺麗じゃん!!』
コトリ『こっちはまだ鞘坂で待機中だよぉ……』
実はルミは、コトリに、一緒に大阪へ行かないかと誘っていた。
しかしコトリは「ルミちゃんの邪魔になるかもしれないから」といって、誘いを断っていた。
大会に出るルミの集中を妨げまいと、心配してくれたのだ。
まあ実際は、ルミは集中するどころか、こうして自転車旅行を満喫しているわけだから、一緒に行動してもよかったのではないかと思うのだが……。
ルミ『大阪についたら、一緒に大阪観光しましょう』
コトリ『おお、いいね!』
コトリ『でも、観光するなら大会が終わった後のほうがいいかな? そのほうが満喫できるよね!』
ルミ『まあ、そうですね』
ルミとしてはどっちでも良かったが、これもコトリの気遣いだろう。
素直に賛成することにした。
さて……夕食。
旅館の料理は、まさに和風づくしである。
牛肉のしゃぶしゃぶ。
お造り。
茶碗蒸し。
鯛の釜飯。
天ぷら。
お漬物。
味噌汁。
などなど。
一つ一つは、大した量ではないが、とにかくメニューの種類が多い。
20種類以上はあるのではないか?
紛うことなきご馳走である。
「美味しそうですね!」
ルミはさっそく食べ始める。
カンパチの刺身。
醤油にわさびを溶かして……刺身を浸した。
口に運ぶ。
んー、美味しい!!
刺身のほんのりした甘味と、醤油の味わいがたまらない!
お次は釜飯。
「ホクホクですっ!」
しっかりと鯛の風味がしみこんだご飯。
それから焼けた鯛の白身。
美味すぎる!!
さて……
お漬物をシャキシャキと食べて、お口直しをしてから、天ぷらへ。
天つゆをつけて、エビの天ぷらを食べる。
これもホクホク。
美味しい!!
カリっとした天ぷらの衣、エビの肉ぶり、優しい天つゆの味わい。
はぁ……
最高すぎる。
至福のひとときだ。
「この旅館は当たりですね」
ふと、そうつぶやいた。
料理が美味しい旅館に、ハズレ無し!
ルミは、素晴らしい夕食を堪能するのだった。
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