第4章67話:証明



自分がルミだと信じてもらうには、剣技でも見せるしかないか?


うーん。


あ……


そうだ。


良い方法がある。


ルミはひらめいたので、口に出して言った。


「しゅ、瞬間移動をやります!」


「お?」


「今から部屋の浴室にいってきます。そこから一瞬で、このリビングに戻ってきましょう!」


「おお~、頑張って!」


くっ、信じてないな?


よーし。


もういっそ、度肝を抜いてやろう。


ルミはリビングから浴室へ移動した。


そして。


(瞬間移動!)


シュッ、と景色が変わる。


移動したのは、コトリの背後である。


コトリは、仮面を外し、ルミが消えていったはずの浴室の方向を見つめている。


その背中に、話しかけた。


「コトリさん」


「!!!?」


コトリが驚愕して振り返る。


「え? ルミちゃん……え? なんで後ろに?」


「瞬間移動してきました」


「ええ!? 嘘でしょ?」


「嘘じゃないですよ。ほら」


ルミはもう一回、瞬間移動してみせる。


今度はコトリの目の前。


テーブルの対岸へとワープした。


「ええええええええええええええ!?」


コトリがさすがに驚愕する。


「あ、そうだ」


そのとき、ルミは思い出した。


瞬間移動などより、もっと簡単に、自分がルミだと証明する方法がある。


ルミちゃんねるのアカウントページを見せたらいいのだ。


ルミしかログインできないページなのだから、それを見せれば動かぬ証拠になるだろう。


「あ、コトリさん。これ私のアカウントページ……ルミちゃんねるなんですけどね」


「ええええええええええええええええええええええええええっ!!!??!?」


コトリは今世紀最大ともいえる驚愕を披露した。

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