第3章61話:帰還と反響
来花は驚いていた。
「へえ……瞬間移動って、こんなに遠くまで移動できるんだ?」
「いえ……そこまで長距離は無理ですよ。徒歩2~3分でいけるぐらいの距離が、有効範囲です」
「それでも驚異的だと思うけどね」
来花は苦笑した。
それから言った。
「それじゃあ、ここでお別れにしましょうか」
「……はい」
ルミは答える。
来花は一礼した。
「今日はありがとう。あなたとパーティーを組めて良かった。とても勉強になったわ。またどこかでお会いしたいわね」
「こちらこそ、ありがとうございました。楽しかったです」
「あ、そうだ。よければ連絡先を交換しない?」
「ん……はい。是非」
ルミは来花と、メッセンジャーアプリのIDを交換する。
「それじゃあ、またね」
「はい、また」
来花が歩き去っていく。
ルミも、瞬間移動をしてその場を去ることにした。
そして人気のないところで着替えをしてから、帰路へと着くのだった。
今回の此間ダンジョンの配信について。
最終同接数は、115万人であった。
動画のPV数は840万再生であり、なおも更新中である。
ルミのチャンネル登録数も、現在、140万を突破している。
この配信の情報は、SNSに拡散され、バズりまくった。
ルミ配信のスクショ画像や、切り抜き動画は、あちこちに拡散されて、話題になった。
また、ルミ・来花パーティーの是非についても、一部の界隈で激しく議論が交わされることになった。
竜人王との戦闘において来花は、完全に空気になっていたものの、全体としては、優良なコンビであるという意見が大半だった。
来花は、コミュ力が高い。
話が上手いというだけでなく、ユーザーの聞きたいことを聞いてくれるし、調子に乗ったり出しゃばったりしない。
良識的であり、安定している。
ただ、一定のアンチも発生していた。
それらのアンチの主張は「来花は、ルミの足手まといにしかなっていないじゃないか」というものだ。
確かに、此間ダンジョンの下層で来花が十分に役立ったとは言いがたく、ほとんどルミ頼りだったのは、否定できない事実だ。
逆に、これに反論したのはもちろん来花ファンであり「状況が状況だけに仕方ないだろう」と彼らは主張した。
確かに来花も好きで下層に落ちたわけではないので、一方的に責められるのは酷である。
あの状況では来花じゃなくたって、ルミに頼るしかないだろう。
こうして信者・アンチの意見が激突し、議論は白熱した。
そして最終的には、
『今後、ルミ・来花はコラボ配信をしてもいいが、来花をAランクダンジョンに連れて行くべきではない』
という意見に収束した。
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