第1章9話:ダンジョンクリア



そして数分後。


事態は収束した。


ドラゴンウルフの群れ……壊滅。


辺りは死体の山であった。


ルミは言った。


「ふう。やっと終わりました。さて……帰りますか」


堂々たる様子で、地上への階段へと向かっていく。





『あ……素材……』


『素材全無視wwwwwwww』


『やっぱり素材を回収しない!!!!』


『さすがルミさんやでぇwwwwwwwwwww』


『安定の素材無視w』


『大部屋制圧すげー』


『なぜ素材を捨て置くwww』


『超もったいねえwww』


「アイテムバッグに空きないのかよ?wwwww』


『ここまで回収した素材はボス剣だけか。いや、あれはドロップ品だから素材じゃないのか?』


『凱旋だああああああああああああ!!』




ダンジョンを出る。


その直後、ダンジョン入口の扉が消滅し、何もなかったかのように横穴が消えた。


ダンジョンボスを討伐したクリア者がダンジョンを脱出すると……


このように、ダンジョンは跡形もなく消えるのである(消えないダンジョンもある)。


なお、その時点でダンジョン内にいた探索者は、強制的にダンジョン外へと弾き出される仕組みだ。


今回のダンジョンはルミしか探索していなかったので、誰も弾き出されることはなかった。




『クリアだああああああああああああ!』


『クリアおめ』


『おつかれ!!』


『鬼ダンジョン踏破!!!』


『おつ~』


『まあお疲れ。マジで面白かったわw』


『最高でした!!』


『クリアおめでとうございます!』


『時間経つの早かったな……』


『神動画』


『めちゃくちゃ面白かったwww』


『お疲れ様でした!!』


『おつおつ!』


『最高の配信だったなwww』





「では配信を終了します。ご視聴ありがとうございました」


飛行カメラに向かって一礼する。


ルミは思う。


(ふう。これで攻略完了です。いい動画が録れてるといいんですけどね。チャンネル登録数、伸びるかな……)


そんな期待と不安を抱えつつ、携帯から配信終了のボタンを押そうとして。


「ん……んんん!?」


ついに、気づいた。


気づいてしまった。


自身の配信が、尋常じゃないレベルで盛り上がっていることに。


「え? あれ? えええええ!? な、なんですかこれ!?」


チャンネル登録数24万。


コメント数30万件以上。


しかも3秒おきに数字が爆増していく。


別の人気配信者のページを開いてしまったかと思って、アカウントを確認する。


ルミちゃんねる、だ。


自分のチャンネル。


……えーと。おかしいな?


チャンネル登録数が6桁を越えているんだけど……


(どうなっているんですか? もう既に配信されていたということですか? ……あ。まさか、生放送!?)


ルミはテンパりだした。


これが生配信であると、ようやく気づいた。


同時接続者数62万という数字。


これは62万人のユーザーが、ルミの配信をリアルタイムで視聴しているのだと。


テンパりまくって、アワアワする。


(と、ととととりあえず切りましょう!)


慌てて配信終了ボタンを押す。


同接は622509人で確定する。


ここからは同接数ではなくPV数の加算となる。


もちろんPV数も既に好成績を叩き出していたが、そこから秒ごとに100~1000PVを積んでいく。


チャンネル登録数の伸びも止まらない。


コメントもすごい勢いで書き込まれ続けている。





こうしてルミの、華々しい配信デビューが終わりを告げたのだった。


最終同接数62万人。


チャンネル登録数24万人(ただし配信後も爆伸び中)。


PV数205万回(ただし配信後も爆伸び中)。


今後の活動次第では、ダンジョン配信者の同接ランキングでランカー入りも狙える驚異的な記録である。


ビギナー配信の記録としては、ダントツの数字。


この日から探索者界隈、そして配信者界隈では、ルミの話題で持ちきりとなるのであった。

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